将棋の藤井聡太竜王(名人、王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)に伊藤匠七段(21)が挑戦する第36期竜王戦七番勝負が10月25・26の両日、福岡県北九州市の「旧安川邸」で第3局が行われ、藤井竜王がシリーズ3勝目を飾った。11日の八冠制覇から無傷で防衛に“王手”をかけた藤井竜王が次戦で3連覇を決めるか。注目の第4局は11月10・11日、北海道小樽市の「銀鱗荘」で行われる。
【中継】藤井竜王VS伊藤七段 終局後インタビューと感想戦(生中継中)
藤井竜王が攻撃姿勢を貫き3勝目を飾った。北九州市を舞台に行われた第3局は、挑戦者・伊藤七段得意の相掛かりの出だしに。受けて立った藤井竜王は序盤に玉寄りの一手で工夫を見せ、力戦調の将棋へと展開していった。難解な中盤戦では、両者持ち時間をたっぷりと投入。本局でシリーズ初となる封じ手の手番となった藤井竜王は、激戦への変化を含む攻防の一手で本格的な戦いへと持ち込んだ。
飛車を活用させてペースを握った藤井竜王に対し、伊藤七段も各所に罠を張り巡らせるように深い読みを入れて盤上に集中。劣勢に追い込まれた終盤戦でも盤をにらんで反撃への道筋を探った。しかし、藤井竜王はわずかな隙を逃さず鋭く先手陣に斬り込むと、リードを拡大。後手玉も際どいながら、受けに回っても冷静な対応力を見せた。
ぎりぎりの終盤戦を制し、藤井竜王が鮮やかに詰みに討ち取り勝利。この結果、藤井竜王はシリーズ負けなしの3連勝で防衛に“王手”をかけた。
藤井竜王は「相掛かりから序盤で一歩を取らせるような形になり、その変わりに主張を作れるような展開かなと思いましたが、封じ手のあたりは自信のない形で戦いになってしまったかなと思っていました。昼食明けから急に激しくなり、終盤はわからない局面が多かった」と一局を総括。3連覇まであと1勝に迫っているが、「防衛のことはあまり考えずに2日間集中して指したい」と冷静に語った。
一方、伊藤七段は「序盤から激しい攻め合いになったが、後手からの反撃が思ったよりも厳しく誤算があり苦しくしてしまった。かなり苦しいシリーズになっているが、内容を改善して次局に臨みたい」と前を向いた。
藤井竜王は10月11日に王座戦五番勝負を制し前人未踏の八冠制覇を達成以来、無傷のまま勝ち星を積み上げている。ますます磨きのかかった圧巻の勝負術で3連覇を決めるか、一方後が無くなった伊藤七段が本領を発揮しシリーズ初勝利をもぎ取るか。注目の第4局は11月10・11日の両日、北海道小樽市の「銀鱗荘」で指される。
(ABEMA/将棋チャンネルより)