空爆が続くガザ地区。ガザ地区の周囲はコンクリートの「分離壁」で覆われ、住民はそこから出ることはできない。厳しい現実を背景に、“壁の中“で暮らす子どもたちはどのような未来を描いているのか。
 
【映像】軍事封鎖に苦しむ ガザ地区の様子
 
 数年前までガザ地区で暮らしていたという、パレスチナ出身のムハンマド・ハッジャージュ氏は、「ガザでは子どもたちが公の場で将来の夢を語ることはない。エンジニアになりたい、医者になりたいと思っていても、それは家族の中だけの話である」とガザ地区の現状を語った。さらにハッジャージュ氏は戦争の終結を切に願い、「この戦争には何も意味が無い。市民の人権を尊重するべきだ」と強調した。
 
 2014年から5年間、パレスチナに駐在して支援活動を行っているNPO法人『パレスチナ子どものキャンペーン』の手島正之氏は、「ガザは軍事封鎖により人・モノ・お金も極端に移動が制限されている中で、失業率がかなり高い。若者の失業率に至っては70%以上と言われているので、多くの方々が職を失っている。なので将来の夢(を実現する)というのは難しい」とガザ地区で暮らす子どもの厳しい現状を明かす。
 
 しかし、将来の夢を語ることが許されないという雰囲気ではないという。手島氏は「私たちは子どもたちのために居場所の提供であったり、上層教育を提供している。そこで今のガザの状況を表すような子どもたちのコメントをたくさん聞いている」としたうえで、「大抵はフットボール選手とかお金を稼ぎたいというコメントがあると思うが、ガザの過去15年間の封鎖状況の中で、『私はジャーナリストになりたい』『ユーチューバーになりたい』など、“いま“の状況を発信できる人になりたいという子どもたちのコメントを聞いている」と明かし、子どもたちが現状を変えるための夢を持っていることを伝えた。
 
 ガザ地区の周囲はコンクリートの「分離壁」で覆われ、住民はそこから出ることはできない。
 
 千原ジュニアの「(ガザを取り囲む)分離壁を超えられる、ガザ地区から出られる方、出られない方の違いは何か」という問いに対して、手島氏は「ほとんどの人々は出られない状況である。イスラエル軍の許可を申請し、それから許可を得られた人々が日雇いの労働に出ることはできた。しかし、政治的な危機であるとか軍事衝突があったときには、許可があってももちろん出られない。その“壁”は本当に得体の知れないもので、ただ外に行きたいという思いが強い」と語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)