大分県別府市で起きたひき逃げ死亡事件の遺族が、逃亡を続ける八田與一(はった・よいち)容疑者(27)を「殺人罪」で告訴した。遺族の思いは警察を動かすか。
【映像】八田容疑者、顔や体の特徴・肉声(動画あり)
2022年6月、別府市の県道で、当時大学生だったAさんと友人Bさんのバイクが赤信号で停車していたところ、後方から来た軽乗用車が100km近いスピードで追突して、Aさんが死亡、Bさんがケガをした。現場にブレーキ痕はなく、はねた車は数十メートル先の電柱に衝突。体を電柱まで飛ばされたAさんは、即死状態だったという。
警察庁は、その場から逃走した八田與一容疑者(27)を道路交通法違反では全国で初となる重要指名手配に指定し、行方を追っている。
死亡した大学生の遺族は、逮捕状の容疑を道路交通法・救護義務違反から、殺人罪へ変更するよう求めている。殺人罪は時効がないが、現在の道交法違反は時効7年となっている。
元検察の若狭勝弁護士は、殺人罪の適用について「『客観的に殺意が認められるか』が最近の傾向。時速100kmぐらいで止まっているところにぶつかれば、死んでもおかしくないと言える状況。客観的に言うと殺意を認めるに足りる」と、殺人罪への切り替えが妥当だと指摘する。
遺族たちは、殺人罪に切り替えるよう繰り返し申し入れをしてきたものの状況は変わらず、5万2000人以上の署名を集めて、9月21日に告訴した。別府警察署は告訴を即日受理、父親らはその後、大分県警本部へ行き、県警本部長ら幹部に宛てた署名も提出した。しかし告訴受理を終えた遺族は、警察の反応に歯切れの悪さを感じたという。
「警察の応対してくれた方の雰囲気から、はっきりとした回答はもらっていないが、『このままいく』というような空気が漂っていた。『道交法のままでいきます。(逮捕容疑は)変わりませんよ』と。殺人罪への切り替えは難しいのかな」(亡くなった大学生Aさんの父親)
こうした警察の対応に対し、時事YouTuberのたかまつななは「信じられない。客観的に見て、ブレーキ痕がなかった。なぜ殺人じゃないと逆に考えているのか、道交法のままでいようと考えているのか。大分県警・別府警察署の考えが全く理解できない」と語る。
国際弁護士の清原博氏は、告訴状は被害者側が警察に「捜査して犯人を処罰して」と言うことだと説明し、「現状で交通事故として捜査が始まっているため、告訴状を受理するのは当然。断る理由はない」とみる。一方で罪名を変えるにはハードルがあるという。
「殺人容疑だと遺族はおっしゃっているが、どの容疑にするかは警察が法と証拠に基づいて決めていくこと。警察側としては証拠がない限りは、なかなか殺人容疑に切り替えるのは難しい。だから今は確実に逮捕状を取っている、道交法違反の方で捜査をしていると顕示しているんだと思う。もちろん事情が変われば殺人容疑に切り替わることが十分にあるが、今のところ事情が変わる新しいものが何もないため、なかなか切り替えにくい」(清原博弁護士)
別府ひき逃げ事件や八田容疑者に関する情報提供は、別府警察署(0977-21-2131)や『ABEMA的ニュースショー』番組公式X(旧Twitter)のDMなどで募集している。
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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