現役のMMA王者vsムエタイ王者がキックボクシング王座を争った前代未聞のマッチメイクは、ムエタイ王者がMMAの“無双王者”を千鳥足＆腰砕けで完膚なきまでに粉砕KO。勝った新王者が試合後に「MMAでもコイツを倒したい」と息巻けば、「セコンドもかかってこい！次はお前だ」など、相手陣営とあわや乱闘騒ぎに発展する一幕があった。
11月4日にタイ・バンコクで開催された「ONE Fight Night 16」で、ONEバンタム級ムエタイ世界王者のジョナサン・ハガティー（イギリス）とONEバンタム級MMA世界王者のファブリシオ・アンドラージ（ブラジル）が、空位の同級キックボクシング王座決定戦で激突。ハガティーが２ラウンド、衝撃KOで勝利し、キックとムエタイの二冠に輝いた。
ONEが近年仕掛けている別競技同士の対戦。ハガティーはムエタイ王者で、一方のアンドラージはMMAの王者と全く異なる王者同士によるタイトル決定戦は驚愕のKO決着となった。
ゴングとともにサークリングしながらローを蹴るハガティー。その後も前蹴り、ボディへのミドルと距離をとった攻撃を仕掛け、ワンツーを放ってはさっと下がって距離を置くなど慎重な立ち上がり。対するアンドラージは、プレッシャーをかけると、執拗なカーフキックでの一点勝負。これをハガティーが嫌がる場面も見られ、第1ラウンドを終える。
最初のラウンドで下がる場面が目立ったハガティーだが、２ラウンド開始とともに別人のように強烈なワンツーを打ち抜くと、ヒザ攻撃とのコンビネーションで攻勢に転じる。アンドラージも右フック、ボディで反撃するなど、拮抗する展開に突入か…と思われたその時だった。
ハガティーが振り抜いた左ハイがアンドラージのテンプル付近をかすめると、脳が揺れたか、足元がおぼつかない。アンドラージはさらに顔面への追撃を貰いながら後退。千鳥足でコーナーロープに吹っ飛ぶ危険な状態だ。
その後、アンドラージはガードもままならず、ハガティーの連打をひたすら貰い続けると、最後は右ストレートを打ち抜かれて後方に尻もちをついてダウン。立ち上がろうとするも足に力が入らず、腰砕けで再び転がってゴングを聞いた。元々キックボクシング出身とはいえ、圧倒的な力の差を見せつけられたアンドラージはパンチのダメージもあり茫然自失といった様子だった。
一方、敗戦のショックを隠し切れないアンドラージ陣営のセコンドに絡まれ口論となったハガティーは「オマエ、次、俺とやるか？」と荒ぶったまま２本のベルトを手にしてご満悦。さらに「不可能はない」「MMAでもアンドラージを倒したい」とMMA参戦までも示唆。衝撃の勝利を飾ったハガティーには、通常の2倍となる10万ドル（約1500万円）のファイティングボーナスが支給された。
