“原因不明の病気”と言われる1型糖尿病を患い、1日数回の注射を打ちながら日本一周を達成した男性がいる。病気への理解促進を目指し、同じ病と闘う人たちと交流する中、彼を支えたものは何だったのか。
「日本一周旅ゴールしました!!!!!いやー!やりきった!!!!」
11月3日、自転車での日本一周を達成した新潟市在住の本間太希さん(26)。自身が患う「1型糖尿病」を知ってもらいたいと始めた挑戦だった。
「『本当に日本一周したんだなあ』という思い。糖尿病を知ってもらうきっかけになれればと思って始めた」(本間さん、以下同)
生きるため、1日最低4回のインスリン注射を打ちながらの挑戦。日本一周達成の裏にあった、本間さんの思いに迫った。
本間さんの体を異変が襲ったのは、25歳のとき。
「歩いていたときに道端で倒れて緊急搬送されて、3週間ぐらい入院した。入院中に担当医の先生から、『あなたは1型糖尿病です』と告げられた」
診断されたのは、血糖値を下げるインスリンを作ることができず、慢性的に血糖値が高い状態になってしまう「1型糖尿病」だった。
「これから毎日、食べたり飲んだりする度に(インスリン)注射を最低4回しないといけない(と言われた)」
診断当初は頭が真っ白になったという本間さん。しかしそこから、1型糖尿病患者の暮らしを知ってもらいたいと、自身の日常をSNSで発信し始めるようになる。だが、そこで一部の人から心無い言葉を掛けられた。
「“糖尿病=生活習慣病”という偏見がある。例えば、糖尿病というのは生活習慣が悪いから発症したのであって、『自業自得だ』とか、それなのに『辛いって言うのはおかしいのではないか』とか。1型糖尿病は原因不明の病気と言われる。特に生活習慣はもちろん関係ないし、子どももなる」
本間さんは病気への正しい理解を深めたいと、日本一周の挑戦を決意する。
「同じように偏見で苦しんでいる人が本当にたくさんいる。それをどうにか社会に発信できないかと思い、全国を回って色々な患者さんとつながりたい、一番きつそうな自転車で若者がやることによって、エンタメとして発信できるかなと思った」
今年6月、本間さんは地元新潟を出発した。主治医の協力もあり、月に1度、各地の病院で検診とインスリン注射の処方をしてもらいながら全国を回る。
「(移動は)だいたい(1日)平均60km。基本的に運動するとエネルギーが使われ血糖値がどんどん下がっていくので、下がってきたらブドウ糖やバナナを食べたりしていた。下がってきたら食べて上げてをずっと繰り返しやっていた」
そして、行く先々では自身と同じ1型糖尿病の患者たちと交流を行った。
「一番は『同じ病気の人に初めて会った』という方が多く、情報交換できて少し生きるのが楽になったという患者さんもいたので、それは本当にやってよかった」
途中、挑戦をやめることも脳裏をよぎったという。そんな中、自身を奮い立たせたのは行く先々でかけられる感謝の声だった。
「こういうふうに言ってくれる人たちがいるなら次の県まで行こうと思って、そういうのをつないでいったら、日本一周できてたみたいな」
そして11月3日、本間さんは出発地の新潟に到着。見事、5カ月間におよぶ日本一周を達成した。挑戦を終えたいま、本間さんは今後の活動について話してくれた。
「(患者同士の)コミュニティとか、情報交換ができるようにしたり、偏見や糖尿病を取り巻く問題を解決できるような活動をしていければと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)