【DNP GreenADのサービスについて】

 デジタル広告は、目的に適したインターネット上の広告枠をリアルタイムかつ自動的に買い付けて広告を表示。その際に、データ処理やコンテンツ配信等を行うサーバーの稼働、ネットワーク上の膨大な通信量などでエネルギーを消費し、CO2も排出している。こうした環境負荷の低減に向けてDNPは、環境配慮型デジタル広告のサービスを通じてデジタル広告取引のCO2排出量を計測するとともに、その排出量削減につながる広告配信の設計を提案し、その実現を支援している。

【トライアル運用の配信概要と効果検証】

■配信概要

○ユニリーバ・ジャパンのエコポイントプログラム「UMILE(ユーマイル)プログラム」の認知訴求を目的として、今回デジタル広告配信を行った。
○まず通常設計で、広告のターゲットを設定し、広告入札取引を通じて一定期間広告を配信。その後の環境配慮型設計では、通常設計時のCO2排出量と広告効果を計測し、広告配信先ごとに抽出したCO2排出量と広告効果のデータに基づいて広告設計を調整。この環境配慮型設計と通常設計の広告配信をともに、同一期間で実施した。
○通常設計・環境配慮設計の共通でCO2排出量の削減につながる二つの取り組みを実施した。
 ①同じユーザーへの同一広告の配信(フリークエンシー)の調整。
 ②通常のオープンオークション(多様な広告媒体と即時・自動で行う入札取引)ではなく、Private Market Place(PMP:広告主と親和性の高い媒体を選定するクローズドな入札取引)*2での配信。

■効果検証

○通常設計と環境配慮設計の配信結果を比較し、CO2削減率と広告効果の変化を検証した。
○「CO2排出量」と「ユーザーへの広告表示回数のうち広告がクリックされた回数の割合(CTR)」を評価指標とした。また、期間内の広告予算とCPM(Cost Per Mille/広告表示1,000回あたりの費用)を同条件とした。
○その結果、環境配慮型設計では、通常設計と比較して、58.1%のCO2排出量削減と、2.2倍の広告効果が確認できた。CO2排出量削減と広告効果が両立できるという結果になった。*3

【ユニリーバ・ジャパンからのコメント】 

 ユニリーバの「UMILEプログラム」は、消費者の皆さまが毎日の暮らしの中でお得に、楽しく地球のためのアクションをとれるプログラムとして、2020年11月にスタートした。当社のつめかえ製品の購入や、使用済みプラスチック容器をリサイクルすることで、LINEポイントや寄付に換えられるエコポイントをためられる。環境負荷を抑えながら同プログラムの認知・参加を高めていく方法を探る中で、環境配慮型デジタル広告のサービスを知り、トライアル運用を行った。今回の検証で効果を確認できたことから、今後も同サービスの活用を検討したいと考えている。(ユニリーバ・ジャパン繁田知延ショッパー&カテゴリーショッパーマーケティングエグゼクティブ)

【今後の展開】

 DNPは脱炭素社会の実現に向けて、本サービスの提供先を拡大。広告主等が環境に配慮した広告配信を実践していることを生活者が意識できる啓発活動や、環境負荷が低いWebサイトの構築なども行う。また広告代理店や媒体各社も含めた多様なステークホルダーと連携し、デジタル広告のサプライチェーン全体でカーボンニュートラルの実現に取り組んでいくとしている。

*1 「DNP GreenAD」のサービスについて https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/20169674_1567.html
*2 広告配信にはDNP独自のPMP「DNP Market Place」を活用。https://www.dnp.co.jp/biz/solution/products/detail/1193346_1567.html
*3 配信設計により数値は変動する。今回の広告の表示回数(インプレッション)は、①②それぞれ約160万回。
*4 https://www2.unilever.co.jp/umile/ecocp.html