1年前、0-3で敗れた相手に2-0で完勝。日本代表は10月17日、ワールドカップ・アジア2次予選を前にした最後の試合、チュニジア戦を終えて6連勝と破竹の勢いを示した。
DF冨安健洋は、この試合が「いいテストになった」と言う。それはビルドアップで一つの光明を見出せたからだった。
チュニジアに1-0とリードして迎えた62分、日本が自陣からの攻撃で最後は右サイドバックの菅原由勢がフィニッシュまで持ち込んだシーンは、守備を固める相手への “攻略法”を示していた。
「W杯予選やアジアカップでは引かれる展開が多くなると思う。その中でいいテストになった」
『ABEMAスポーツタイム』(ABEMA)の特集のなかで、この場面の映像を見ながらそう話した。
右サイドバックの菅原が相手陣内でボールを持ったものの、攻めきれずに一度、右センターバックの板倉滉へ戻し、その左の冨安へと預けた。相手のセンターフォワードが食いついてきたことを確認した冨安は、できるだけ引きつけてから、左サイドライン側に寄っていた守田英正に縦パスを送った。そこから一気にスピードアップした日本はゴール前まで攻め込み、ボックス内の左で粘った上田綺世がマイナスに大きく戻して、ボックス外の菅原がフィニッシュを放った。
この場面を振り返った富安は、「正直、ベストな選択肢ではなかった」と言いつつも、相手を日本陣内まで引き込んでから攻撃へと転じる“擬似カウンター”が一つの形になっていたようだ。
「原理的には僕が下がって、ストライカーがプレスに来る。そこの空いたスペースを使いたかった。守田くんは能力でターンして突破してくれましたけど。一つのアイデアとして、空いたスペースに(遠藤)航くんが9番の背中を追いかけて走ってきて、そこでもし、相手の17番がプレスに来たら、今度はそのスーペースを使えばいい、という感じ」
冨安が「ベストな選択肢ではなかった」「原理的には」と話したように、イメージしていたのは「こうしたらああなると、パズルのような再現性の高いアーセナル」だ。ただし、「チュニジア戦で、日本はクオリティ勝負してもいいんだと感じた」と、日本のレベルアップを感じたという。
「アーセナルの方が再現性は高い、日本の方が自由度は高い。発想力やアイデアで勝負する。どちらがいいではなく、ただの違い。ただ、両方できるようになったら強いなと思う」
アーセナル式か、日本式か、そのハイブリッドか。冨安が守備ラインを統率する森保ジャパンは、これから始まるアジアカップ予選で、どんな戦い方を見せてくれるのだろうか。
(ABEMAスポーツタイム)