仕事中に仮眠をとって業務効率化を推進しようとする企業もある中、型破りなアイデアでサポートするアイテムが登場。
10月13日に政府が閣議決定した2023年版「過労死等防止対策白書」。その中で、労働者約1万人を対象とした大規模な睡眠の実態調査が行われた。
理想の睡眠時間について、62.5%が「7時間以上」と回答する一方で、実際の睡眠時間は「6時間に満たない」という人が45.5%に上った。
理想と現実のギャップ。寝不足社会の中で「仕事の合間に人目を気にせず、ちょっとだけ仮眠を取りたい」という人も多いはず。
立ったまま仮眠をとれる「giraffenap」は、ひざやすね、腕などに体重が分散される設計で、リラックスした状態で眠ることができる仮眠BOXだ。
北海道で行われた大企業と中小企業の知財マッチングイベントが商品開発のきっかけとなったという。オフィス用品大手のイトーキが持つ特許に、旭川の木材加工会社、広葉樹合板の社長が注目しライセンス契約へと話が進んだという。
「『立って寝るって何?』というのが始まりで、僕らもそれを聞いて『立って寝る?』と驚いた。それがうちの社長のアンテナに引っかかったようだ」(広葉樹合板株式会社・菊地文貴 関東工場長、以下同)
社長の命を受けて商品化に取り組んだ菊地工場長も、初めは「立ち寝」というコンセプトに驚きながらも模型を作り、試作を重ねていったという。
「シートとアームに関しては、『自動昇降装置』を付けて、昇降機が動く段階で体形・身長差にフィットするような設計になっている。設計した人間が言うのもなんだが『割と寝られるんだな』というのが正直な感想。これを作っているときにはコロナも収束に向かっていたが、看護師さんたちのような、人のために仕事をされている方がちょっと休息するのに使ってもらいたいと思った」
現在、2024年1月の発売に向けて準備を進めており、価格は約300万円を予定している。サブスクリプションでリース契約する形態も考えているという。
この「立ったまま眠る」という型破りなアイデアは一体、どこから思いついたのだろうか。発案者は、イトーキでプロダクトデザインに携わる佐藤さん。そのきっかけは、誰もが一度は見たことがある通勤電車のあの場面だった。
「(通勤電車で)つり革につかまったまま立って寝ている人が、ひざが“カクン”となるようなシーンを思い出した。そのときに“カクン”とならないように家具側で押さえてあげられれば立って寝られるのではないかと思いつき、特許の取得に至った」(株式会社イトーキ・佐藤宏樹チーフデザイナー、以下同)
どうすれば体に負担をかけずリラックスできる姿勢を保てるのか。佐藤さんは、寝る姿勢を取ったときの筋肉にかかる力の計測や、試作品のヒアリングを繰り返した。
「お尻や腕はある程度自分でコントロールしやすい部分だが、すねは一番荷重がかかりつつ硬い部分なので、適切な角度とクッションの硬さ、どれぐらいの柔らかさがいいのかというのは何度も実験を重ねた」
立って寝るというアイデアを形にした結果、眠りも深くなりすぎず仕事に戻りやすいという仮眠に最適な環境になった。この柔軟な発想はどこから生まれるのだろうか。
「一側面からだけの見方ではなく、様々なところから多面的に課題を捉えて、どう解決するかは色々なやり方があると思う。『あまり縛られすぎずにやってみよう』『1回作ってみることにより今までできなかったことができるかもしれない』というのは経験上あったので、そういうところから今回のアイデアは生まれたのかなと思っている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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