東大院生の昆虫ハンター「家族はむしろ虫嫌い」 子どもの“夢中になる力”を伸ばすには
【映像】オンブバッタの二匹の関係は? など昆虫ハンターからのクイズ
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 昆虫の魅力を伝えたいと昆虫ハンターとして活躍する東京大学大学院生がいる。その虫取りに同行すると地球温暖化の影響も見えてきた。

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 ワンタッチで巨大化する網を華麗にさばくのは、昆虫ハンターの牧田習さん(27)。ニュース番組『ABEMAヒルズ』スタッフの子どもと彼の虫取りに同行。すると早速、昆虫が視界に入ると即座に反応し網を振る。

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「視野に昆虫がいたらいつなんどきでも走る気持ちでやれば大丈夫」(牧田さん、以下同)

 牧田さんは東京大学の博士課程で学ぶ、現役の大学院生だ。「昆虫と地球の関係性」の研究をしながらメディアに出演している。「体が青い赤トンボがいる」といった、昆虫の驚きの雑学を集めた本も出版するなど、「昆虫ハンター」として活躍している。小さな頃から虫取りに夢中になり、これまでに9つの新種を発見した。

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「あ、あ!カマキリ、カマキリいた。見て見てほら、大きいでしょ」
「すごい」(子ども)

 捕まえたのは大きなカマが特徴の、昆虫界の名ハンター、オオカマキリ。

「昼間は目が緑色だけど夜は真っ黒に変えて、夜でも昼でも自由に活動できるようにしている」

 「あ!」と、飛び跳ねるようにまた網を振ると、「入りました」と違う虫を捕まえた。ヒョウ柄のような模様が特徴の「ツマグロヒョウモンチョウ」だ。

「(子どもに渡し)大きいでしょう。これも胸を持ってあげようか。温暖化で増えた種類で、昔に比べたらかなり増えている」

 牧田さんは「迷蝶」という、東南アジアなどから台風や偏西風などに乗って日本に飛んでくる蝶を研究している。

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「温暖化で南のほうにしかいなかった種類がどんどん北に上がって来ていて、減っている種類もあれば、逆に増えている種類もある。この子(ツマグロヒョウモンチョウ)は増えてきた」

 地球温暖化は昆虫の生態系にも影響を及ぼしている。

「(昆虫は)周りの環境や気候と絡んで存在している。昆虫が増える背景には理由があるので、色々な気づきがある」

 捕まえた虫を放して、虫取りは終了した。

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━━昆虫の魅力とは?

「昆虫の素晴らしさは『多様性』だ。未知の種類を入れたら2000万種類以上いるのではないかと言われるぐらい、多様な世の中でそれぞれが戦略を持ってこんなに自由に生きている」

━━今後の夢は?

「昆虫と世の中の『架け橋』のような存在になれればなと思っている」

 研究の傍ら、子どもたちに昆虫の面白さを伝えるために、無料で参加できるオンライン教室も開いている。この日のテーマは「トンボ」。全国の昆虫好きの子どもたちから送られてきたトンボの写真を丁寧に解説する牧田さんだが、驚きの告白も行った。

「普段は昆虫を食べないが、シオカラトンボは食べたことがあり、塩辛くない。人間が食べてもあまり味はしないと思う」

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 シオカラトンボを知りたい思いから試食するなど、体を張っている。そんな牧田さんは、中学・高校時代は勉強そっちのけで虫取りばかりして怒られていたという。しかし、昆虫の論文を読むには英語が必要だった。希望の大学に行くことが、さらに虫の研究を楽しむ道につながると悟り火がついたという。

「虫のおかげで様々な人と会えて、自分の価値観がどんどん広がっていくし、僕の人生は虫が作り、切り拓いてくれている」

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 番組の徳永有美アナウンサーと、経済アナリストで番組コメンテーターの森永康平氏を交え、牧田さんに話を聞いた。

徳永:昆虫が2000万種類もいるとは驚いた。

牧田:地球上にいるほとんどの昆虫は未知で、新種の可能性がある。もしかしたら3000万、4000万種類、もっと多いんじゃないかと言われているぐらい地球は未知の昆虫だらけ。図鑑に載っているのはごく一部で、ほとんどの昆虫は図鑑にも載ってないし、誰も見たことないものが大半。東京都内でも、まだ誰も見てないような昆虫がいるかもしれない。

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森永:新しい星を見つけるよりも難易度が低そうだ。

牧田:昆虫は誰も行ってない場所や誰もやっていない方法をとることで、新種がどんどん見つかる。“未知“というものが子どもながらにワクワクさせてくれる。

徳永:“夢中になる力”が今の活動を支えているとのことだが、森永さんは?

森永:うちも子どもが3人いて、親としては『やってほしいこと』があったが、強制すると嫌いになると思うので、うちの方針は子どもがやりたいことを応援する。僕は野球が好きなのだが息子はサッカーをしている。

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牧田:自分の家族はむしろ虫が嫌い。だけど、自分が毎日虫取りしているのを応援してくれて今がある。

徳永:好きになったきっかけは?

牧田:祖父がとても生き物が好きで、ミヤマクワガタを持って来てくれた。当たり前だけど動いていて、それを見たときに『なんで動くんだろう?』『なんでこんな形してるんだろう』と子どもながらにときめいて20数年になる。

徳永:子どもが雷に打たれたその瞬間を、親が大切にしてあげるのが大事なんでしょうね。好きなものはどんどん研究するし、それによって見聞や知識も広がっていくと。

牧田:好きから入っていき、昆虫の様々な部分が見えてくるとその分興味が広がって、環境、植物と色々広がる。

(『ABEMAヒルズ』より)

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