11月19日(日)に開催された「FIGHT CLUB」にて、YA-MANが朝倉未来を試合時間わずか77秒でKO。敗れた朝倉はノーコメントで会場をあとにし、自身のInstagramとYouTubeチャンネルにて現役引退を示唆した。
【画像】朝倉未来の「倒れ方えげつなかった」実況絶句の衝撃KOの瞬間(複数)
「FIGHT CLUB」は初代RISE OFG(オープンフィンガーグローブ)-65kg王者のYA-MANが大会プロデューサーを務め、全試合OFG着用の立ち技格闘技ルールで行われた大会。
7月の超RIZIN.2でヴガール・ケラモフに敗れて以来、沈黙を守っていた朝倉が電撃参戦し、大会のメインイベントでYA-MANと対戦した。
この一戦はキックを主戦場に戦うYA-MANに、キック初挑戦の朝倉が挑む形だったが、朝倉勝利を予想する選手・関係者も多く、ABEMA公式Xのファンによる勝敗予想では74.4%で朝倉勝利という結果に終わっていた。
しかし試合は誰も予想しなかった結末を迎える。試合開始のゴングが鳴るとYA-MANがプレッシャーをかけ、朝倉の左ミドルに右ストレートを合わせ、インローを蹴って右ボディストレートで攻撃を散らす。
そして朝倉をコーナーに詰めると、強烈な右ストレートを叩き込んでダウンを奪い、何とか立ち上がる朝倉に追撃の右フック。この一撃でレフェリーが試合を止め、1R1分17秒、YA-MANが朝倉を衝撃の秒殺KOでマットに沈めた。
YA-MANはバックステージで「未来さんは右フックを合わせてくるから、それをガードして右ストレートを合わせる練習をしていた」と試合を振り返っていたが、あの77秒の間に何が起きていたのか?
「YA-MANの距離が良かった」と話すのはRISE伊藤隆代表だ。国内MMAファイターの中でも屈指の打撃スキルを誇る朝倉の主な武器は左ハイキック・左のヒザ蹴り・右フックという3種類のカウンター。自分の距離を保ち、相手が入ってくるところにいずれかのカウンターを合わせるのが朝倉の必勝パターンだ。
伊藤代表は「朝倉選手は距離を取って色々と考えながらカウンターを合わせてくる。YA-MANはそれをさせないようにすぐに前に出て距離を詰めて、朝倉選手に考える時間を与えなかった」とYA-MANが速攻勝負を仕掛けたことで、朝倉にカウンターを合わせるチャンスを与えなかったと分析する。
そして右フックへの対処について明かしてくれたのが、YA-MANのセコンドを務めTARGET SHIBUYAの宮城大樹代表だ。朝倉のフィニッシュブロー=右フックに対するYA-MAN陣営が準備した対策は「朝倉選手の右フックをブロックして左ジャブを突いて右ストレートを合わせる」こと。実は大会中の控室レポートでYA-MANがトレーナーと反復していたのが、この動きだった。
「試合が始まってすぐ距離がバッチリ合っていたのにはびっくりした」というサプライズもあったが「今日は目もよかった(よく見えていた)し、位置取りもよかったし、インローを蹴れたのもよかった。今日はYA-MANが久しぶりに"キックボクシング"をやったことが勝因ですね」と宮城代表。
派手な殴り合いや喧嘩ファイトを身上とするYA-MANだが、朝倉をKOした77秒間には緻密な作戦と技術が詰まっていた。
試合後のリング上でYA-MANは「今回は俺の土俵でやったから、年末MMAで再戦どうですかね?」と朝倉とのリマッチをアピール。バックステージでも「今回はこっちの土俵に上がってきてもらったわけだから、これで朝倉未来に勝ったとは思ってない。次はこっちが相手の土俵でやりたいし、そこで完全決着をつけたい」と今回とは逆のパターン=MMAで朝倉と戦いたいと意思表示した。
しかしダメージが大きかったため、ノーコメントで会場を後にした朝倉は自身のInstagramにて現役引退を示唆。YouTubeチャンネルでも「試合映像を見たけど完敗でした。寝技でやられて、打撃でやられたわけでしょ。客観的に見て引退です。これが今の素直な気持ちです」とInstagramと同じ内容のコメントを残した。動画内ではRIZINでのラストファイトも口にしていた朝倉だが今後の去就に注目が集まる。