第1次南極観測隊に同行し、犬ぞり隊として活躍した15頭の犬たちは、訳あって南極の地に置き去りにされ、タロ、ジロと名付けられた2頭だけが奇跡的に生き延びた。この話は1983年公開の映画『南極物語』でも描かれ、広く知られているが、過酷な環境の中、なぜこの2頭は生存することができたのか。その答えを握る犬ぞりのリーダー犬・リキの知られざる実話に、ゲスト出演した阿川佐和子らが涙を流した。
11月18日(土)放送の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系、毎週土曜よる6時56分〜)では「意味がわかると泣ける!博士ちゃん昭和写真館」と題した企画を展開。大人顔負けの知識を身につけている子どもの“博士ちゃん”が、写真に隠された昭和の感動秘話を紹介した。
世界中の珍しい犬が大集合するドッグショーが大好きで、犬に関する深い知識を持つ相馬幸奈(ゆきな)ちゃん(15歳・高1)。彼女が選んだ1枚の白黒写真には、犬ぞりが雪上を駆ける様子が収められ、その先頭には威勢の良い1頭の犬の姿がある。「南極に取り残されたタロとジロを、1年間命がけで守ったリーダー犬・リキの写真です」と幸奈ちゃん。この写真は昭和31年に、北海道での訓練中に撮影されたもの。そりを引く15頭は、第1次南極観測隊に同行した樺太犬という犬種の犬たちで、人や荷物を運ぶ役割で活躍した。
観測開始から1年が経った頃、悲劇が起こる。第1次観測隊の隊員たちは1年間の任務を終えて帰るため、日本から来た南極観測船・宗谷へ。交代で第2次観測隊員が南極へ向かうはずだった。しかし悪天候のため、第2次観測隊員は南極上陸を断念することに。引き続き、犬ぞりを引く予定だった犬たちは、鎖で繋がれたまま、南極に取り残されてしまったのだ。日本へ戻った観測隊員に待ち受けていたのは、激しいバッシング。メディアでも連日、人々の悲痛な叫びが報じられた。
そして1年後の昭和33年11月、第3次観測隊が南極へ出発。上陸した隊員たちは、置き去りにされた15頭のうち、生き残っていたタロ、ジロと感動の再会を果たす。隊員のもとに犬たちが駆け寄るシーンは映画『南極物語』でも有名だ。このタロ、ジロの生存を支えたのが、犬ぞり隊のリーダーを務めていたリキだった。先導犬としての能力に優れ、一度行った場所は忘れなかったというリキ。食料庫のありかを把握していたリキは、タロとジロを連れて食料を調達して歩き、まだ仔犬だった2頭が食べ物にありつけるよう、面倒を見ていたのだ。昭和基地から約100キロ離れた緊急用の食料庫にも、リキたちが足を踏み入れた形跡が残っているという。
さらにリキは、タロとジロが南極で生き残れるよう、危機回避能力を身につけさせたと言われている。南極にはクレバスと呼ばれる深い割れ目があり、そこに落ちると命に危険が及ぶ。クレバスを避けて歩く方法をリキから教わっていたタロとジロは、第3次観測隊の犬ぞり隊に参加した際、先頭でそりを引くリーダー犬として、立派に活躍したそうだ。
そんなリキの遺体は、タロ、ジロと観測隊員が再会した場所のすぐ近くで発見されている。命を落とす間際まで、タロとジロを守り続けていたに違いない。スタジオでVTRを見ていた阿川は思わず目頭を押さえ、「かわいそう…リキ…」とうなだれた。なお、その後スタジオでは、鎖に繋がれていた犬たちが、どのようにして自由になったのかという話に。幸奈ちゃんは「食べ物がなかったので、どんどん痩せていって、首輪が緩くなって抜けたと言われています」と、当時犬たちが置かれていた残酷な状況を解説していた。
『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』はABEMAで見逃し配信中。