日向坂46の齊藤京子が不貞の進化系「パラサイト不倫」に身を投じる、テレビ朝日系連続ドラマ『泥濘の食卓』(土曜11:30)。第6話では那須川店長(吉沢悠)の妻・ふみこ(戸田菜穂)の口から、那須川店長の過去の不倫事情が語られる。しかし、それを受け止めた深愛(齊藤)の反応があまりにも不気味だった。
ドラマの原作は、2016年に『悪い夢だといいのにな』で第75回ちばてつや賞大賞に輝いた新進気鋭の漫画家・伊奈子による同名コミック。「パラサイト不倫」といういまだかつてないジャンルを誕生させた衝撃作だ。アルバイト先のスーパーの店長と不倫している深愛が、店長家族の中に入り込み、妻や息子の心にパラサイト。店長一家を泥濘へと引きずり込んでいく。
架空の福祉団体を名乗り、那須川店長の妻で心の病を患っているふみこ(戸田菜穂)に近づき、完全なる信頼関係を築いている深愛。そんなふみこのピアスを「可愛い」と褒めると、ふみこは「旦那が買ってくれたんだ」と明かす。かつて那須川店長からラブホテルでピアスをプレゼントされた経緯のある深愛は、自分の中から湧き上がる嫉妬を抑え込んで「愛されているんですね…」と夫婦の絆をうらやむのだった。
するとふみこは「こんなになっても見捨てないでいてくれるからそうなのかな…。でもなんかわかんないや」と思わせぶりなことを言い、ついに「あの人、昔不倫してたの。すずらんの子と」と那須川店長とアルバイト女子が犯した過去の浮気事情について言及する。
寝耳に水の深愛が「え」と絶句する一方で、ふみこは「もう何年も前ね。私働いてなかったし。ハルキもまだ小さかったから、知らないふりして、生活を守っていくことに決めたの。捨てられるんじゃないかっていう不安。あの時からずっとあって。私一人で大丈夫ってなれればいいのに…」と堰を切ったように告白する。
すると何を思ったのか、深愛は痛切な表情を浮かべるふみこの手を優しく握り、「大丈夫ですよ。ふみこさんは良くなっています。強く、強くなりましょう。それで好きなことして、それだけで生きていきましょう」と見つめながらエール。そして「ありがとう。深愛ちゃんがいてくれてよかった」と涙を流して感激するふみこに対して「私は店長の奥さんも大好き」と心の中で思うのだった。
ここで整理したい。そもそも深愛は那須川店長と現在進行形で不倫中。そしてふみこは過去の夫の不貞に傷つき、心を病んでしまったようだ。サレ妻と現在進行形の愛人。まともな人間ならば、ふみこに対する罪悪感が重すぎて、アドバイスやエールなどを送れるはずがない。それなのに深愛はふみこに心底同情し、応援したいと本気で思っている。歪み切った認知か、それとも自分の事情は棚に上げすぎて忘れているのか?イビツナな状況から生まれた恐るべき感情の矛盾。この不気味さの先には一体何が?