アニメ『すずめの戸締まり』や大河ドラマ『どうする家康』で注目の若手俳優・原菜乃華が不気味な演技で頭角を現している、テレビ朝日系連続ドラマ『泥濘の食卓』(土曜11:30)。第6話でも、その怖さのエンジンは全開だ。
ドラマの原作は、2016年に『悪い夢だといいのにな』で第75回ちばてつや賞大賞に輝いた新進気鋭の漫画家・伊奈子による同名コミック。「パラサイト不倫」といういまだかつてないジャンルを誕生させた衝撃作だ。アルバイト先のスーパーの店長と不倫している深愛が、店長家族の中に入り込み、妻や息子の心にパラサイト。店長一家を泥濘へと引きずり込んでいく。
幼馴染のハルキ(桜井海音)と深愛(齊藤京子)の仲を引き裂こうと、カッターナイフ片手に2人を襲撃したちふゆ(原)。しかしハルキからの抵抗にあい、階段からダイナミックに転げ落ちて腕を折るなどの大怪我を負ってしまった。しかしタダでは絶対に起きない女であるちふゆは、大怪我をさせたというハルキの後ろめたさを弱みにして、奴隷化に成功する。
抵抗を放棄したハルキを連れてカラオケボックスに入店したちふゆ。絶望するハルキのことなどお構いなしに「どこ行くつもりだったの?あの女と。遠くに行って??何すんの??知らないところで??そこでしかできないことあんの?ハルキと一緒にいてもさ、あの女、絶対不倫するでしょ?」とハルキが想いを寄せる深愛をボロクソにけなし、「私高校でたら、とりあえず私とハルキが住む家、親にもらおうかな〜」と楽しそうに未来予想図を描く。
そしてハルキに絡みつく様に「私、許さないから。あんな女と逃げるなんて」とマイクパフォーマンス。急に制服を脱ぎ捨てて、「可愛いでしょ?このあいだ買っちゃった」とセクシーなランジェリー姿に。突然の出来事に驚いて逃げようとするハルキに対して「ここ座って。私の言う事、なんでも聞くっつったじゃん!」と低音ボイスで指示し、上半身裸になるように命令する。
ちふゆは上半身裸になったハルキの上にまたがり、スマホで2ショット写真をパシャパシャ。写真に納まった決め顔から一転、ちふゆはその親密風写真をハルキの顔に押し付けるように見せつけ「見て!仲良しの証拠!浮気したらこれSNSにのっけるからね!ハルキはずっと私と一緒にいるんだからね!」と目を見開きながら絶叫するのだった。
カラオケボックスという密室に半ば監禁する手法で既成事実を捏造。有無を言わさず脅し、逃げ場をふさぐ。年端のいかない女子高生とは思えぬ狡猾な手口にちふゆの底知れぬ闇が表れている。その闇を見事に体現した原の熱演もさすがだ。八方ふさがりのハルキはどんな選択をチョイスするのか?次週にも注目だ。