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 上野樹里林遣都が初共演した12月1日公開の映画『隣人X -疑惑の彼女-』。人間の姿をコピーして日常に紛れ込んだ惑星難民Xの疑惑をかけらる女性・柏木良子を上野樹里が、その良子をを追う記者・笹憲太郎を林遣都が演じる。世界的分断を生んだコロナ禍やSNSの発達など現代的ワードを寓話的に盛り込んだ本作に挑んだ2人に話を聞いた。

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 長いキャリアを誇りながらも、意外なことに本作が初顔合わせ。しかも上野は映画『お父さんと伊藤さん』(2016年)以来7年となる映画主演だ。「撮影前のリハーサルでは雨の中で笹と手が触れ合うシーンを15回くらい何度も演じました。映画に出るのが7年ぶりということで、どうも私の表現の仕方が映画的ではないと(笑)。そこから長い話合いをしてしまって…。遣都君には迷惑をかけました」と恐縮する上野だが、林は芝居に対する上野のひた向きな姿勢に感動。「上野さんとの初対面はそのリハーサル時。本来はリハをやってみんなで顔合わせの食事というスケジュールでしたが、上野さんからは『優先順位は食事じゃない』という熱量を見せていただいて、リハを続けることが出来ました。僕もお芝居に対しては突き詰めたいと思うタイプなのですが、なかなかできることではないです。僕の理想のような姿勢を体現されている上野さんはとても魅力的で、作品に対する責任感の強さを感じました」とリスペクトしきりだ。

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 一方の上野は林の「優れた再現能力」をリスペクトする。「リハ室は何もない空間なのですが、身体能力の高さでそこを瞬時にアパートにしてしまったりして再現能力の高さで痺れるシーンをリハの段階から作ってくれました。何もない場所にもかかわらず、お芝居の表現だけで景色を想像させてくれて、撮影に入る前から安心感をくれました。この物語は惑星難民Xを探るSF的要素がありつつも、ダイナミックなアクションがあるお話ではありません。その中で林さん演じる笹のドキドキやハラハラがサスペンス要素に繋がるので、林さんの様々な感情が力強く刻まれていく様は物静かな良子との対比にもなる。これはいいコンビになるのではないかという手応えを得ました」と確信。その確信通り、撮影では何の遅滞もなくすべてがスムーズに進んだそうだ。

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 惑星Xで紛争が起きたことから、日本は惑星Xからの難民を受け入れることを決定する。Xには人間に擬態する能力があり、人間を決して傷つけない固有性を持つという。しかし人類は誰もが未知なる存在であるXに不安を感じ、隣人に対してすら疑惑の目を向けるようになる。

 「人間誰しも“知らない”ことに恐怖を感じるもの。コロナ禍を経た今だからこそ、Xをコロナウィルスのメタファーとして見る人もいるかもしれません。コロナ禍はみんながマスクをして隣の人の表情さえ見えませんでした。SNSでは情報が氾濫し、何を信じていいのかさえもわかりませんでした。しかもここにきてtwitterがXに改名(笑)。人は自分にかけているフィルターによって他者の見え方が変わるもの。私は他人こそ自分の鏡だと思っているので、Xとは何か?と聞かれたら、それはあなた自身の中にあるものですと言いたい。笹と彼に追われている身であった良子との間にラブストーリーが生まれることで、世の中の見え方が変わるその変化を体感してほしいです」と上野。

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 様々な情報に翻弄される、というのも現代ならではの問題。SNSとの向き合い方について林は「僕はSNSもやっていないし、どちらかというと時代に置いていかれるタイプ」と苦笑いしながら「情報が入ってきすぎるので、最近はSNSをより見ないようになっています。僕はSNSのなかった時代をギリギリ知っている年齢。アナログな時代の良さも知っているので戻りたいと思うことも時々あります。『スマホの見過ぎは自律神経を乱れさせる』と指摘されたこともあって、スマホから離れる時もあります」と打ち明ける。

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 一方、上野はSNSとは適度な距離で付き合い、上手く活用しているようだ。「皆さんが作品をどのように見たのかを知りたいのでエゴサーチはします。共演者がコメントしたことに対していいね!をしたり、コメントを書きこんだりして。若い頃はネガティブな書き込みを読んだりして心を痛めたこともありました。でも今ではSNSの仕組みやネットリテラシーを高めることで、そのゾーンからは抜けました。SNSの正しい知識を学べば、一つ一つのコメントに踊らされることも無くなる気がします」と実感を込める。

 これに納得の表情の林は「どんなに情報ツールが発達したとしても、それに踊らされることなく自分の好きなもの幸せなものがあればいいですよね」と言うと、上野も「SNSを介してハッピーな情報を届けることが一番いいこと」とネット社会のポジティブな面に期待を寄せいていた。

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上野樹里 ヘアメイク:清家いずみ/スタイリスト:古田千晶

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林遣都 ヘアメイク:竹井 温 (&'s management)/スタイリスト:菊池陽之介

取材・文:石井隼人
写真:山口真由子

『隣人X -疑惑の彼女-』12月1日(金)新宿ピカデリー 他全国ロードショー

(c)2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 (c)パリュスあや子/講談社

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