徳之島でハブ11匹が集団脱走をし、「徳之島でハブパニック勃発」などと報道され話題になっている。その真相を確かめるべく取材を敢行した。
 
【映像】バルブの締め忘れ?大量の毒蛇が脱走した「ハブの館」
 
 ハブは徳之島や奄美大島に生息する毒ヘビで、噛まれると命にもかかわる猛毒を持っていることでも有名だ。
 
 事件は奄美町役場の敷地内にある「ハブの館」で勃発。当時ガラス張りの展示スペースにハブは16匹いたが、職員が清掃をしたあとに排水溝のバルブを閉め忘れたため、そこから11匹のハブが集団脱走したという。天城町は防災無線で注意を呼びかけ、役場の職員は休日を返照して延べ120人体制で大捜索。天城町は事件から1週間で「すべて捕獲したとみられる」と発表したが、実際に脱走した11匹のハブかは特定が難しいため、引き続き捜索を続けているという。
 
 前代未聞のハブの集団脱走というニュースは全国を駆け巡り「徳之島でハブパニック勃発」「住民がハブの恐怖にさいなまれている」と伝えたところも多かったが、実際の声を聞くために徳之島の島民に話を伺った。
 
 すると「そんな世の中全部が大騒ぎするようなものでもない」「私たち一緒にハブと暮らしている。日常の暮らしのなかにハブがいる」「私たちは共存しているので、そう怖がる必要はない」「都会のクマに比べればかわいいもの」といった声が。島民の少年にも「怖くないのか?」と尋ねたところ「怖くない」と即答だった。
 
 徳之島虹の会の政武文理事長によると「ハブは徳之島に生息するほかの動物にとって、脅威的な存在であるし、人間にとっても恐れの対象ではあるが、実はこの島の自然を守ってきた側面もある」と、徳之島が世界自然遺産に登録されたのはハブが一役買っていると説明。さらにハブは徳之島の経済を守っている側面もあるという。政理事長は主要農産物のサトウキビをかじって枯らせてしまうネズミをハブが食べ、農家の収入を支えているのだとコメントした。
 
 国立環境研究所室長の五箇公一氏はハブについて「ある意味島の自然を守る、天敵として存在している大事な存在ということは島民のみなさんは理解しているので、いまさら逃げたからといってどうこうという話でもない」語り、「大事なことはこういったものとうまく共存していくというライフスタイル」と解説した。
 
(『ABEMA的ニュースショー』より)