女性客に「売り掛け」による多額の借金を負わせ、性風俗の仕事や売春を斡旋する悪質なホストクラブが問題となっている。女性客の心理を巧みに利用するホストの仕事や売り掛け金を巡るトラブルなど、知られざる業界の実態を元ホストに聞いた。
かつて、新宿・歌舞伎町のホストクラブで5年間働いた経験があるリョウさん(仮名)。大手ホストグループに所属し、40人ほどの固定客を抱え、月の最高売り上げが600万円を超えることもあったという。
客として訪れていた女性たちについてリョウさんは「承認欲求が強い子、周りにちやほやされたい子が多かった」と振り返った。
女性客との関係性については「『年間売り上げでこの位の順位を取りたいから今月頑張ってくれない?』などと客の女の子に相談していた。これはアイドルの推し活で、『自分たちが応援したアイドルが有名になって武道館に行ってくれたら嬉しい』という心理と似ていると思う」と話した。
時には応援しているホストの売り上げにどれだけ貢献しているかで、客の女の子同士の争いが発生することも…。ホスト側はそんな客の恋愛感情や承認欲求を巧みに利用し自分の売り上げを伸ばす接客を徹底しているという。
「彼氏になってほしい、体の関係を持ちたいという子もいたが、僕は極力付き合わないようにしていた。なぜなら『この人と付き合いたい』というゴールを達成することでお金を使わなくなる可能性があるからだ」
ピーク時は月の売掛金が300万円ほどあったというリョウさん。客が払ってくれない売掛金については「ホストが自腹で払うが、その回収を巡ってトラブルになることもよくある。中には女の子の髪を引っ張って歌舞伎町のホテル街を連れ回したり、殴る蹴るの暴行をするホストもいた」という。
客の支払い能力を判断し、売り掛けを制限・管理する店がある一方、性風俗の仕事や売春の斡旋を前提に、高額な売り掛けを認める悪質ホストクラブも存在する。
リョウさんは「自分から風俗で働きに行く子も多いが、強制的にやらせる店舗もあった。18歳、19歳なら風俗で働けるし、高校卒業したてでアダルトビデオの契約をすればプレミアがつく。ホストが風俗などの仕事を仲介するケースもあった」と説明した。
悪質ホストクラブを巡る問題は国会でも議論に。こうした中、歌舞伎町のホストクラブおよそ200店舗の代表者らは来年4月までに売り掛けを廃止する方針を出した。
売り掛けを禁止する動きについてリョウさんは「現金オンリーになるため、1日の売り上げがガクッと下がる。そのため、従う店もあれば、裏で売り掛けを続ける店もあるだろう。正直制度で廃止したところで各店に毎回立ち入りできるわけではないので、取り締まるのは難しい。とはいえ、業界がクリーンになっていくのはいいことだ」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)
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