2018年にTVアニメ「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」が放送され、翌2019年には劇場アニメ「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」が公開されスマッシュヒットを記録した「青春ブタ野郎」シリーズ。2023年6月には劇場アニメ「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」が公開され、前作の興行収入を超えるヒットとなるなど、注目度が高まっている。
12月1日にはシリーズ最新作にして、《高校生編》完結となる「青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない」が公開された。神奈川県・藤沢を舞台にして、思春期特有の感情が「思春期症候群」と呼ばれる不思議な現象として現れてしまう青春ドラマが描かれていく。
本記事では「ランドセルガールの夢を見ない」の公開に先駆け、主人公・梓川咲太(あずさがわ さくた)役の石川界人、桜島麻衣(さくらじま まい)役の瀬戸麻沙美、梓川花楓(あずさがわ かえで)役の久保ユリカにインタビューを実施。咲太と家族の関係性に迫った「ランドセルガールの夢を見ない」を見る上で「おでかけシスターの夢を見ない」との関係性や注目ポイントについて話を伺った。
――「ランドセルガールの夢を見ない」の鑑賞前に改めて「おでかけシスターの夢を見ない」を振り返る人も多いと思いますが、ここに注目するとより楽しめるというポイントはどんなところでしょうか?
石川:原作の鴨志田先生もおっしゃっていることですが、(原作は)2作セットで描かれていて、「ゆめみる少女の夢を見ない」も原作では2巻分のエピソードを1作の劇場アニメにまとめているので、2作見ることで成立する作品だと思っています。
「おでかけシスターの夢を見ない」までのお話で、花楓が花楓として一歩踏み出せる勇気を持てたからこそ、「ランドセルガールの夢を見ない」で描かれる家族の物語で、なぜ母親と再会するのかということも明確になるのではないかなと。より楽しめるというよりも、感情移入の深度が深まるのかなと思います。
――たしかにそうですね。逆に「ランドセルガールの夢を見ない」を見てから「おでかけシスターの夢を見ない」を見るというのもアリですか?
石川:先に結論から楽しめる人で、なぜこうなったのか突き詰めて見たいタイプの人であれば全然大丈夫だと思いますよ。僕もそういうタイプで、サスペンスものでは先に犯人を知ってから見るので。
一同:(笑)
――瀬戸さんと久保さんはいかがでしょうか?
瀬戸:両方とも収録したあとに振り返ると、「おでかけシスターの夢を見ない」で花楓が一生懸命頑張った時間があったからこそ、「ランドセルガールの夢を見ない」で花楓の笑顔が見られると思えたので、そこに注目してほしいですね。
久保:「おでかけシスターの夢を見ない」での咲太の立ち回りを見ていると、必ずしもストレートに「ランドセルガールの夢を見ない」で幸せにつながらないという流れは、「あんなにお兄ちゃんとして頑張ったのになんでこうなっちゃうんだよ!」という自分の中の感情をすごく動かしてくれるんじゃないかなと思います。
――シリーズを通じて初めて咲太が直面する「思春期症候群」が描かれますが、花楓の次は咲太が頑張る番と言いますか。
石川:基本的に「青春ブタ野郎」シリーズは女の子がいろいろな悩みを持っていて、それに向き合っていく姿に心を打たれるというお話なのですが、その中で主人公が表立ってストーリーが描かれていくということにはじめはプレッシャーもありましたし、見てくれる人が楽しめるのかなという気持ちもありました。ただ実際に演じてみると、男女問わず楽しんでいただける胸を打つような作品になっていると感じましたので、そういう意味では実際に演じたことでプレッシャーからは解放されました。
久保:(両作の)時間軸が本当に近いところで描かれているので、演じる側としても短いスパンで収録できたのが気持ちを作る上ですごくありがたかったですし、見ていただく上でもあったかいまま連続で見られる環境を作っていただいて本当にありがたいです。舞台挨拶含めてずっと「青春ブタ野郎」シリーズのことしか考えていなかったというくらい……今年は青ブタだったよね!
一同:(笑)
久保:ずっと今年の頭から最後の最後まで青ブタづくしだったなって思います(笑)。
――ちなみに、タイトルにもなっている麻衣の子どもの頃に似た姿をしたランドセルガールは、瀬戸さんが演じているのですか?
瀬戸:そうですね、小学生の頃の役者をやっているときの麻衣と姿がよく似た存在ではあるものの、同一人物ではないので、咲太の前に現れた案内人のような存在だと解釈しています。
――石川さんはそんなランドセルガールと対峙することになりますが。
石川:小学生の姿をした麻衣そのものではないという認識は、瀬戸さんと変わらないです。(自分の存在が見えなくなっていく咲太が)「思春期症候群」によって自分の無意識が小学生の姿をした麻衣として具現化して現れているという解釈で、麻衣さんと話すというよりは自分自身と話すという気持ちが強かったです。
――花楓との掛け合いはないですが、久保さんはランドセルガールについて何か印象的なことなどありましたか?
久保:作品上であんな声を出している瀬戸さんを見ることがあんまりなかったので、レアだなと思いました(笑)。
瀬戸:ああいう声も出せます!
石川:瀬戸さんのロリ声は一級品ですから。知ってるんですよ、僕!
「おでかけシスターの夢を見ない」からつながる物語を劇場で見る上で、主要声優3人が語ってくれた見どころにもぜひ注目してみてほしい。
青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない
2023年12月1日劇場公開
【公式HP】https://ao-buta.com
【公式X】https://twitter.com/aobuta_anime
(C)2022 鴨志田 一/KADOKAWA/青ブタ Project
取材・テキスト・写真/kato