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【映像】報告義務あり・なしの違いは?政治資金の流れ
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 自民党・安倍派の政治資金パーティーを巡る問題で、東京地検特捜部は安倍派の議員への任意聴取を開始した。関係者によると、安倍派の政治団体「清和政策研究会」では、パーティー券の販売ノルマを超えた収入が議員側にキックバックされ、収支報告書に記載されていない疑いがあり、記載のない金額は、去年までの5年間で約5億円に上るとみられている。

【映像】報告義務あり・なしの違いは?政治資金の流れ

 今後の捜査でどこまで疑惑の全容解明に迫ることができるのか。政治家の逮捕や起訴はあるのか。『ABEMA Prime』で元東京地検特捜部検事の郷原信郎弁護士に聞いた。

■「超大規模捜査体制になることは間違いない」

 特捜部は体制として、各所から応援検事を数十人規模で招集するという。郷原氏は「私が聞いているところでは、通常の特捜部の体制に加えて、地方からの応援検事50人、合わせて80人ぐらいの体制らしい。これだけの規模はあまり聞いたことがなく、超大規模捜査体制であることは間違いない」と話す。

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 一方で、「政治資金規正法はものすごく抜け穴が多い。そこに落ちないよう事件にしていくのは並大抵のことではない」と、同法での立件へのハードルを語る。

「裏金の何が犯罪になるかというのは、世の中のイメージとかなりギャップがある。例えば議員1人でも、収支を扱う資金管理団体があり、他にも政党支部やいろいろな団体がある。そもそも“記載しない”という前提の裏金を受け取った時に、どの団体の収支報告書に書くべきなのか。それが特定できないと、政治資金規正法違反の具体的な犯罪にならない。しかし、収支報告書は個々の団体が作成して提出するもので、それぞれに会計責任者がいる。取り調べで、“ここで処理しないといけなかったが、表に出してはいけないと思い書かなかった”という自白があればいいが、議員側も起訴されたら公民権停止なので相当構えてくる」

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 また、「政策活動費」こそが諸悪の根源だとも指摘。これは政党から議員個人に渡されるもので、領収書など使い道を公表する義務がない。

「本来、政治家個人は企業からも個人からも寄付を受け取ることはできず、必ず政治団体あるいは政党支部で受け取るというルールがある。しかし、例外的に政党から政治家個人に対しては寄付ができ、これが抜け穴だ。例えば、選挙の時に自民党本部から幹事長に10億円を渡す、ということもできる。そして、政治家個人には収支報告書の記載義務がない。つまり、“党からもらった政策活動費として記載しなくていいと思っていた”という言い訳ができてしまう」

■「検察が緻密な戦略に基づいているようには見えない」

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 今回のパー券収入不記載の問題は、2022年11月にしんぶん赤旗が報道し、直後から神戸学院大学の上脇博之教授が調査し、多数の不記載を告発、今年11月から各メディアが報道するに至っている。そうした経緯から、郷原氏は「検察がはじめから緻密な戦略に基づいているようには見えない」と指摘する。

「検察が動き始めたのは、おそらく今年の10月か11月。最初に騒いだのは自民党側で、“この告発で派閥のパーティー券の問題を調べたら大変なことになるぞ”という認識があったと思う。それが政治部の記者たちに広がり、次は社会部に、そして検察へと伝わって動き始めたパターンだと思う。裏金に対する世の中の反応に合わせて戦線を拡大しているが、刑事事件として着地させるきちんとした見通しがあるのかは疑問がある」

 一方で、捜査が行き過ぎる可能性には釘を差した。

「これまで盤石だった安倍派が、検察にこれだけ攻撃を受けるというのは、言ってみれば権力の分散でもあるわけで、この構図は1つ望ましい面もあると思う。しかし、検察には民主的な基盤も何もない。選挙で選ばれたわけではないし、権限行使を任せたわけでもない。今回は、権力が集中している安倍派に立ち向かってるから、多くの人が拍手喝采しているが、向きが変わって、法律上の犯罪を摘発するという範囲を超えて、“とにかくやってやる”“黒川問題の恨みがあるんだ”ということで動き始めたら、こんな恐ろしいものはない」

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 岸田派や他の派閥でも不記載が発覚している中で、この問題は安倍派だけに留まるのか。どこが“本丸”なのか。

「今のところ、裏金のキックバックが言われているのは安倍派だけ。総額で5億円ともされているが、還流された議員個人の責任が問えるかというと、先ほど言ったようにどこが処理すべきなのかという高いハードルがある。一方、安倍派側については過少記載、虚偽記載なので、会計責任者の責任になることは間違いないだろう。ただ、世の中は国会議員が出てこないと納得しない。そうなると、安倍さんや細田さんなどの会長が意思決定をしていた可能性が高いが、お二人とも亡くなっている。その責任を中間的な立場にある事務総長、松野さんや西村さんに問えるのか。ここが最大の問題になってくると思う」

(『ABEMA Prime』より)

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