26日、新日本プロレスリング株式会社が都内で会見を開き、新たに同社の選手兼・代表取締役社長に就任した棚橋弘至(47)が登壇。就任に際しての意気込みと「東京ドーム大会を超満員に」などとする3つのビジョンを明らかにした。
棚橋は23日、同社の臨時株主総会及び取締役会において決定した代表取締役の異動と新たな役員人事を受け自身のXを更新。「新日本プロレスリング株式会社、代表取締役社長に就任しました。新日本プロレスをもっともっと楽しんでいただけるように全力で頑張っていきます。疲れないので、皆さん、ご安心を」などと投稿。2019年にIWGPヘビー級王座最多戴冠記録を樹立するなど、プロレス大賞MVPを4度受賞。名実ともに“エース”として新日本プロレスをけん引してきた棚橋の“代表取締役社長就任”という電撃的な一報は、ファンの間で大きな反響を呼んでいた。
この日就任会見に臨んだ棚橋は冒頭、「新日本プロレスでプロレスラー生活を送っていく中で『新日本プロレスの社長になる』というのは、いつしか僕の夢となり、目標となっていきました。今回、それが叶ってとても嬉しく思っています」と挨拶。さらに「社長就任が発表になったとき、多くの方からお祝いの言葉をいただきまして、本当に感激しました。同時に、その多くの期待に応えなければならないという思いで身が引き締まっています」と続けた。そのうえで、今後のビジョンについても次のように言及した。
まず一つは「東京ドーム大会を超満員にする」こと。
その理由について棚橋は「東京ドームの超満員のお客様の中で花道を歩くのは、レスラーにとって誉れ。それを選手にも経験してほしい。それがその後のレスラー人生に大きな影響を与えるし、ファンの皆様の記憶の中にも楽しい記憶、よい記憶として残っていく」と説明した。
もう一つは「地方でのタイトルマッチをどんどん増やしていく」こと。
これについては「2000年代に地方でもプロモーションをたくさんやらしていただいた。地方の大会はなんとかまず500人を入れよう、達成したら次は1000人を目標にとやってきて、「地方大会が超満員にならないと、東京ドーム大会も満員にならない」というのがだんだん見えてきた。日本全国のプロレスファンの熱量が高まって、初めて東京ドームが満員になると分かった。それを改めてやっていきたい」と自らの苦い経験と実感を踏まえて述べた。
最後に「スポンサー様とのパートナーシップの強化」に言及した棚橋は「新日本プロレスがより一層羽ばたくためには、強力なタッグパートナーが必要だと考えている。現役レスラー社長として、日本一動き回る姿勢、新しい社長の形を模索してやっていきたい」と“新しい社長”像にも触れた。
会見に先立ち、同社の公式YouTubeでは棚橋が新社長として初めて朝礼に臨んだ模様を公開。「レスラーとしてリング上から見るファンの方の笑顔というものは、最高にうれしいもの。ただその笑顔をレスラーが見て喜ぶまでに各部署の努力があって、チケット販売があって、広報活動があって、パンフレット・ホームページ制作などがあって、みんなの力があって、レスラーはその状況で笑顔を見ることができていたんだなぁという思いがある。なので新日本プロレスファンのみんなに喜んでもらえる会社にさらにしていこうと思う」と棚橋の語りに社員たちから拍手が沸き起こっていた。
会見には2020年から代表取締役社長を務めた大張高己氏も登壇。「コロナ禍の積み重ねがアフターコロナの武器になるような経営をすることがミッションだった。コロナ禍の3年でデジタル、グローバル、スポンサー企業とのパートナーシップ。これらを武器にビジネス面での改革についてファンの皆様、選手のみんな、社員のみんなに支えていただきながら私の力の及ぶ範囲でできることはおかげさまでやり遂げることができたと思っている」と在任期間を振り返ると、新社長の棚橋についても言及。「立場は違えど、かつての危機を乗り越えたV字回復の立役者として、支えてくれたのが棚橋弘至新社長です。私と棚橋さんの関係は社長と選手というよりも、コロナ禍をともに乗り越えてきた戦友であり、同志」などと思いを語った。
新社長のファンへのお披露目は2024 年1月4日(木)に開催される「ベルク Presents WRESTLE KINGDOM 18 in 東京ドーム」を予定している。
■棚橋弘至(たなはし ひろし)
1976年11月13日、岐阜県大垣市生まれ。1999 年、立命館大学法学部を卒業後、新日本プロレスに入門し、同年 10 月にデビュー。2006 年、IWGP ヘビー級王座を初戴冠。2009 年、2011 年、2014 年、2018 年にはプロレス大賞 MVP を獲得するなど「新日本プロレスのエース」として団体を牽引。2019 年には IWGP ヘビー級王座最多戴冠記録を樹立