街に賑わいが戻って来た今年、都内ではぼったくりに関する相談が急増。高額請求される事例が相次いでいる。そんな中、警視庁が注意を呼びかける手口が、マッチングアプリを悪用したもの。六本木のぼったくりバー元店員のユウさんは「バーテンが女性を装ってお客さんに連絡を取る」と話す。
ぼったくりはこれまでも報じられてきたが、なぜ撲滅できないのか。被害に遭わないためには。『ABEMA Prime』でユウさんに手口を聞くともに、対策を議論した。
■元店員が語るぼったくりの手口とは
今年、新宿署に寄せられた相談件数は、去年の約2.5倍。被害額も3倍近い数字になっている。
ユウさんが働いていたぼったくりバーは、バーテン数人、“女性客”6人、見張り1人という体制だったという。実際の手口について、「アプリでマッチした男性に対して“この店に飲み行こうよ”と言ってアポを組む。店内にはバーテンと女性がいて、前者はお酒を作って売上も上げる営業マンのような役割だ。女の子はキャバ嬢のような役割で、隣に座って客を楽しませる」と説明する。
男性には酒を飲むよう促し、店側の女性にはジュースを提供。それがバレないよう「グラスの縁に本物のワインで香りを付ける。それを見えない状態で作って提供する。お店に来て偽物が出るという発想にならないので、基本的にはわからない」と明かす。指摘されたこともあるそうだが、「女の子も手慣れているので、『何が?』と言いながら飲んでごまかす」という。
また、「六本木」という土地柄の雰囲気を作ることも大事だと語る。「メニューは高級っぽくする。冷凍の生パスタを出して、“めっちゃおいしいですね”と言われた時は、これだと思った」。
そういったノウハウについては先輩に教えてもらい、後輩に引き継いでいくという。「マニュアルは作れない。ガサ対策として物は残さないのが鉄則だ」とした。
■月に手取りで70~90万円「財布が来た、本当アホだなあと」
ユウさんはぼったくりをする際のルールとして、「上からは、“2万9990円に抑えろ”と言われていた。僕らは29と呼んでいたが、その金額だと逮捕されない、もしくは逮捕されても罪が軽くなると言われていた」と回答。また、「SNSのテレグラムとシグナルを使い、女の子と連絡を取りながら“今売上いくらだからあと何杯注文しろ”“ゲームしてショット入れろ”といった指示を出して、15、16万円くらい稼いだ。これが一番おいしかった」と明かす。
客がお金を払えない場合の対応については、「お金を下ろしに行かせたり、カードのキャッシング、あとは友達に持って来させる。下ろしに行くときは注意点があり、コンビニや銀行の中には絶対に入らないこと。入ると恐喝や脅迫に捉えられる危険性がある」とした。
そうして得た稼ぎは「週に3、4日出勤して、月に手取りで70~90万円ぐらいだった」。罪悪感は「一切ない」と断言し、「客=金。入店したら、“財布が来た”“はい、今日も売り上げいくら!”“儲かったぞ、よっしゃ!”みたいな。本当アホだなあと思っていた」と語った。
気をつけるべき店舗については「ネット検索で出てこない店には行かない方がいい。手口として、女の子が“この店行きたい”と誘うのと、僕らが路上に立ってキャッチのふりをすることもあった。一回立ち止まって、調べて出てこない場合は行かないようにする。あと、看板がない店にも注意が必要だ」とした。
■被害に遭わないためにはどうすべきか
ぼったくりは居酒屋でもあり、SNS上では被害を訴える声があがる。加島法律事務所の加島光弁護士は「繁華街でフリーの客引きに3000円、5000円という感じで連れていかれ、お店でひとしきり楽しんだ後、伝票を見たらものすごい金額になっていたというパターンが多い」と話す。
被害に遭ったと思った時はどうすればいいのか。「まずは、知らないお店に行かない。それから、客引きにはついて行かない。やむを得ずそういったお店に行くときはネットでHPを調べたり、入店したときに料金の事前説明を求めること。それにも関わらずぼったくられてしまったときは警察を呼ぶこと。それから、こういうケースに限らず、払ったものを取り返すのは基本的に難しく、反対にお店がお金を取り立てるのも難しいので、なるべくその場でお金を支払わないことが重要だ」と注意を促した。
番組取材で、店内には「入店をもって契約とする」という文言のもと、週末料金や年末年始料金、サービス料金、深夜料金などが上乗せされることを説明した張り紙があった。ただ、こうした記載があっても、事前説明がなければ応じる必要はないという。加島氏は、こうした行為を条例で禁止していくべきだとの見方を示した。
(「ABEMA Prime」より)
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