7月のオープン以来、連日大行列ができるのが“接客態度が悪い”レストランだ。普通の飲食店であればクレームものだが、SNSでは「新鮮で面白いです」「行き切っている感じが良い」「怒られたい、怒られたくて来る」となど好意的なコメントが多い。
ハラスメントの撲滅が叫ばれる今、ライボ Job総研の『2023年 上司と部下の意識調査』によると、叱られた経験がない20代は75%に達する。一方で、約4人に1人は「上司に叱られたい!」と回答した。
『ABEMA Prime』では、学校や会社において、叱ることの必要性や意義について、20代の社会人と考えた。
「叱られたい」願望の正体とは
「もっと叱られたい」と話す社会人のみんぐさん(20代)は、出版関係の企業に勤め、フリーペーパーの編集などに従事。「自分の弱点や未熟なところを克服して、ステップアップしたい」と話す。
幼少期からミスをしないように心がけ、叱られた経験が少ないという。社会人になって取引先とトラブルが生じた時も、叱られずに解決してきたが、こうした自分のやり方に不安があると明かす。当時を振り返り、「プロジェクトの過程でもっと修正して、良い仕事をしたかったが、後から“こうすれば良かったのでは?”と言われて困る。その時にもっとガツンと言ってほしかった」と語った。
職場には「叱られる人も、そうでない人もいる」というが、みんぐさんはうまくごまかす、やり過ごすのが上手いタイプ。それは、「みんぐさんが優秀だからでは?」との質問には、「先輩たちは私より人生経験がある。だからもっといろいろ学びたい。若さゆえ未熟な点もあるのでガンガン言ってほしい」と厳しい指導を求める。
また、最近は部下を持つ立場になったという。「経験が少ないので、どう叱ればいいかわからない。今は、数秒置いてから言うことを整理するとか、自分のやり方と他の方法を含めた選択肢を与えるなどの工夫をしている」と、上司としてのポリシーを明かす。
叱ると怒るの違いは?
お笑い芸人のパックンは「“おい!ダメだよ”と言うのが叱り。上司としてのみんぐさんが心がける選択肢の提供は指導だと思う」と指摘。
パワハラを恐れるあまり、職場が緩くなっているという意見については、「昔から日本は指導が足りないと思っている。例えば、テレビのカメラマンになるには、まずはケーブルの巻き方を学びなさい。5年かけてできるようになったら、やっとカメラを触れるようになる。ふざけるな、と。10分で教えられることをなぜ時間を掛けて、見て盗まなくてはいけないの?」と持論を述べた。
お笑い界も叱り方はマイルド?
お笑いコンビEXITの兼近大樹は「間違った叱られ方に反抗した時もあった」とコメント。その経験を踏まえ「後輩には“指導”をしている。お笑いは基準がない世界。だから、“おまえが面白いことは何?”と聞き、“俺は面白いと思わないけれどやってみたら?”“面白いと思うけど評価されないかも?”といった伝え方をしている」と明かした。空気が悪くならないよう、あえてツッコミどころを残し、面白く終わる雰囲気作りも心がけるという。また、指導するのは後輩から頼まれた時だけで、「自分から言い出すことはしない」とした。
パックンは「例えば、ネタのつもりで書いてきたものが、構成をわかってないただの会話だったりする。“ネタってこういうものだよ”“このテンプレートに沿って一回書いてみて”と指導している。全く叱ったりしない」と述べた。さらに、「昔の僕は“わかっているつもり”のバカ芸人だった。マックンが“オーバーアクションは日本でウケないぞ”と叱ってくれたおかげで、今も生き残っている。ただ、それを理解するのに15年くらいかかった」と語った。
議論を踏まえ、みんぐさんは「自分にはコミュニケーションが足りていない。もっと積極性を持てれば、目的も達成できると感じた」と振り返った。
EXITのりんたろー。は「僕たちの業界だと、叱られないかわりに次の仕事がなくなる。シビアだけれど、ある意味で面倒くさいことがなくて良いのかも?」と述べた。
(「ABEMA Prime」より)
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