12月31日(日)さいたまスーパーアリーナにて「にゃんこ大戦争 presents RIZIN.45」が開催され、朝倉海がフアン・アーチュレッタをKOし、第6代RIZINバンタム級王座に就いた。

 RIZINバンタム級タイトルマッチは試合前から波乱含みの一戦となった。王者アーチュレッタが公式計量でリミットの61kgを2.8kgと大幅にオーバー。公開計量の時点ではアーチュレッタの王座剥奪、朝倉が勝利した場合のみ新王者として認定される変則タイトルマッチで両営と協議することがアナウンスされた。

 そこから大会開始直前まで協議が続き、最終的には榊原信行CEOより【アーチュレッタの体重を戻すリミットは68kg】【試合1時間前の計量でアーチュレッタが68kgをクリアすれば試合実施】【朝倉が勝った場合は王者として認定、アーチュレッタが勝った場合はノーコンテスト裁定】という条件で試合が実施されることが発表される。

 結果的に試合1時間前の計量をアーチュレッタがクリアして試合実施となったが、朝倉が「とにかくデカかった」と振り返ったように体重超過によるサイズの違いがあったことは確か。しかもアーチュレッタは試合前にレッドカード(減点)も提示されており、試合開始から突進力を活かしたパンチで朝倉を後退させる。事実、朝倉が離れ際のアーチュレッタの右を被弾し、フラッシュダウンする場面もあった。

 しかしこのピンチを脱出し、アーチュレッタのタックルを切ったところから試合の流れが変わる。徐々に朝倉がアーチュレッタの打撃を見切り、アーチュレッタの突進に左ジャブ・フック、ミドルのカウンターを当てるようになる。そして2Rに右ストレートから前に出たアーチュレッタのボディにヒザ蹴りを突き刺すと、これが決定打となり、朝倉がアーチュレッタをマットに沈めて、バンタム級王座返り咲きを果たした。

 試合後のインタビューで、朝倉は2024年の目標として「海外に挑戦するか、ベルトを防衛していくか。榊原さんと話し合って決めたい。僕の中では海外にチャレンジしたいという気持ちを持っています。UFCに行きたいです」と海外挑戦を明言した。

 これを受けて榊原CEOは「海とも相談してUFCでなくてはいけないのか。BellatorやPFLは体制が変わったけれど、建設的でフレンドリーな関係は続いている。プロモーターとしてはもっと世界のトップアスリートたちがRIZINのベルトを狙ってくるイベントにしたいし、海の希望は希望としつつ、ベルトを防衛する道も進めて、総合的に視野を広く話してみたい」としている。

 朝倉がどの舞台で戦っていくかはまだ分からないが、いずれにせよ2024年はVS世界として海外勢との対戦が増えていくことになるはずだ。そうなった時に活きてくるのが、今回のようなカウンターだろう。軽量級であっても外国人選手とフィジカルコンタクトの多い真っ向勝負することはリスクが大きい。逆に被弾を減らして、自分の攻撃を当てるスタイルは効果的だ。今回のアーチュレッタ戦、そして前回の元谷友貴戦とカウンターのヒザ蹴りは朝倉の得意技の一つだ。

 朝倉も所属するJAPAN TOP TEAMの打撃コーチに就任した“65kg日本最強”のキックボクサー・原口健飛も「僕は外国人にフィジカルでは勝てないというところまで振り切って、フィジカル勝負以外で勝つ武器を磨いています。だから僕は相手のフィジカルや突っ込む力を利用できるのが強みだし、むしろ外国人選手と戦うのは得意で倒しやすい。フィジカル勝負では敵わないけど、僕のスタイルだったら外国人選手も勝てる」という持論を持っている。
 
 一撃必殺のカウンターで世界へ。2024年の朝倉海はRIZINのベルトと共に新たなチャレンジに踏み出す一年になりそうだ。

文/中村拓己
©︎RIZIN FF

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