日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」で、出場する棋士を発表する監督会議が1月6日に放送された。大会開催が発表された直後から、優勝候補の筆頭と言われていたチーム中部(静岡・愛知・岐阜・三重・山梨・長野・石川・富山・福井・新潟)だが、出場登録棋士4人が発表され、豪華な布陣の全容が明かされた。八冠保持者である藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)だけでも超強力だが、関西のチームに入ることも予想された豊島将之九段(33)が参画。監督を務める杉本昌隆八段(55)も「2大エースとなる」と、大きな期待を寄せた。
【映像】藤井竜王・名人、豊島九段の2大エースが揃ったチーム中部(36分16秒ごろ~)
最強の八冠保持者に、タイトル6期の実績がある愛知県の先輩棋士。令和のタイトル戦線をリードしてきた2人が揃ったとなれば、そのインパクトは十分だ。杉本八段は、弟子である藤井竜王・名人について「選ばないわけにはいかない」と真っ先に出場登録を決めたが、次に選んだ棋士の存在が大きかった。豊島九段は竜王と名人を同時に保持したこともあり「藤井時代」到来の前に、タイトル戦の常連だった棋士。現在でも復冠を目指して各棋戦で好成績を残している。「豊島さんが我が中部でエントリーされたのが非常に大きい」と、杉本八段も大満足だ。どちらもABEMAトーナメントでフィッシャールールの経験も十分。2大エースを揃えられたことだけでも、監督の役目の大半を果たせたと言ってもいいくらいだ。
ただ残り2枠にも抜かりはない。早指し棋戦の優勝経験があり、高勝率の八代弥七段(29)も選んだ。ABEMAトーナメントへ出場したことはないが「選ばれていないのが不思議なくらい」だ。チーム最年少となる服部慎一郎六段(24)は若手棋戦で2回優勝しており、ABEMAトーナメントでも優勝経験がある。明るい性格でチームのムードを高めることへの期待もあり、監督を除けば平均年齢26.7歳という若さも超早指し向きだ。
チームスローガンは、かつて戦国武将が天下統一を目指して戦ったことから「天下布武!将棋の駒を持って日本一を目指す!」に決めた。藤井竜王・名人の大活躍に沸いた愛知を中心に、チーム中部の全10県を盛り上げるため、杉本八段は気分よく棋士たちを送り出す。2024年、将棋界の中心を中部にする。そんな意気込みだ。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)