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夫婦共に発達障害…中村の自宅
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 「発達障害だから子どもを産むなだとかは私としてはもう悲しくて仕方がない」こう語るのは、関西を中心に活動しているナレーター・中村郁(43)。38歳の時に受けた検査で、自閉症スペクトラム症(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)が判明した彼女だが、同じくナレーターとして活動する夫もASDとADHDの発達障害ホルダーだ。2人は在発達障害を抱えながら、6歳と3歳の娘を育てている。彼女たちは日々、どのように子育てと向き合っているのか。話を聞いてきた。

【映像】夫婦共に発達障害…「片付け」を減らす工夫がされた中村の自宅

靴下は兼用で全部黒色…“片付け”が苦手な発達障害夫婦ゆえの工夫と苦労

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中村「一応持ち物忘れ物ないかなと、最終チェックでホワイトボードに大事な物、大丈夫かな?って確認してから出かけるようにしています。鍵は前もって10個ぐらい作っておくんですよ。数限りなく失くしてしまうので。もう50本以上は失くしています。
私はASD自閉症スペクトラム症とADHD注意欠陥多動性障害を持っているんですけれども、ASDの方は人とのコミュニケーションがちょっと苦手というか、たくさんの人がいるところに行くとすごく頭が痛くなってしまったりする。ADHDの方は多動性障害ということで、注意欠陥多動性障害なので、すごく忘れ物を多かったり失くし物だったりが多くて。ずっと年がら年中、捜し物をしている感じです」

 発達障害がある2人は、注意力の欠如から“片付け”が苦手。家の中は、整理できない物で溢れ、細かいところの掃除は行き届かないでいる。

ーー洗濯機の中にまだ洗濯物が入ったままだと思うんですけど、干したりはしないんですか?

中村「干したり畳んだりはしないです。乾燥まで出来るやつにしているから、ここから取り出して(使う)とか。ずっと放置していたらシワにもなるので、お洋服はシワにならないものしか買わないとか決めてます」

ーー減らないと次のもの洗えないから困りませんか?

中村「だからここがずんずんと溜まっていってうず高く。今日は恥ずかしくてこうなってますけど、もうこんな感じですごいことになって」

ーー後ろの黒いのは靴下ですか?

中村「靴下です。干したり分類したりするのが苦手。だからもう全部黒にしています。夫も一緒に兼用というか、2人とも黒の靴下でやってます」

 中村は、たくさんの種類があるとパニックになり仕分けることができないそうで、靴下は統一しているという。

ーー普段お掃除は毎日やりますか?

中村「毎日しないです。人が来るタイミングでします。なのであえて人を呼ぶようにしている。月に1回とか2回とか。なるべく人が来てくれるってなったら、死にものぐるいで前日に片付けるっていうサイクルなので」

「床に子どもの細かいおもちゃとかが散らかったりした時に足に刺さる感覚とかが多くなってきたら掃除機かけなきゃなとか。そんな感じですね」

中村「嫌なんですよ。散らかってくると、どんどん憂鬱になってくるんです。そのままでいいとは絶対に思っていなくて。散らかっていけばいくほど手を付けたくなくなって、もう嫌だってなってなる」

「夫婦間とか家族の空気まで悪くなって。じゃあ片付けろって話なんですけど、それがなかなかできない」

中村「散らかってきたら、一気に夫婦喧嘩も多くなるよね。やっぱり心がどんよりしてくるので、足踏んでこけたりとか、つまずくことも多くなって。なんやねん!みたいになる。こないだも足の親指の爪が子どもが出していたダンボールに引っかかって全部剥がれて、夜に救急車で血だらけになってね。その時もだいぶ散らかってたから、足の踏み場ない中歩くんで引っかかったりとか」

ーー冷蔵庫の中身はどのような感じでしょうか?

中村「冷蔵庫は、家にあるのにないかもしれないなと思って買ってしまうから結構同じのが入ってます。同じのばっかり何回も買ってしまいます」

ーー(冷蔵庫の中を見て)わさびが2つあって、からしが3つぐらいある。

中村「買い忘れもめっちゃしますし、同じの買うこともあります」

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アルバイト先で押された「社会不適合者」の烙印

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 “当たり前”とされていることができない中村は、他人に理解してもらえない“生きづらさ”をずっと抱えて生きてきた。

 幼少期、物忘れや癇癪がひどい子どもだったという中村。中高一貫校に進学するも集団行動が苦手で友達も少なく、アルバイトで社会に出ると、さらに困難に直面した。

中村「いわゆるマルチタスクがすごく苦手。1つのことをやっているときに他からこれやってって言われたら、もともとやっていたものを忘れてしまって、そのままにしてしまったりとか。そういうことが多いです。あれやってって言われても、その声も聞こえないし、目の前のことばっかりになってしまうので、アルバイトは全部クビになった」

 昔から作業や目の前のことへ、過剰に集中してしまう『過集中』と呼ばれる状態に陥り、
周囲の人たちをよく困らせていたという。

中村「喫茶店とかでトイレ掃除しといてって言われたら、トイレ掃除をやることに必死になるので、ピカピカに磨くというか。そこを必死になっていて、気がつけば店内ものすごいお客さん入って、みんな忙しそうにしているのに、私だけずっとトイレ掃除をやり続けて、どこ行ったんや、あの子みたいになって。いつまでも何やってんの!?周りの状況見ろよって言われることが多くて。社会不適合者やって店長から言われました」

 大学在学中に、「社会不適合者」の烙印を押されたことで就職活動を諦めた中村だが、その頃、声を褒められたことがきっかけでナレーターの道へと進んだ。

中村「ブースの中に入って1人で原稿と向き合って集中してやる仕事なので、その間はいつもの過集中を働かせて向き合うっていう作業なので、すごくピッタリでしんどくはないです」

娘に感じる申し訳なさ「僕たちの落ち度なのに、子どものミスになってしまう」

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 集中力を要するナレーションの仕事はまさに天職。その仕事で出会った同業者の今の夫と36歳で結婚。その後、2人の娘に恵まれた。幸せな家庭を築いている一方で、発達障害を抱えながらの育児は娘に迷惑をかけてしまうこともあるという。

中村「私たち親自体が子どもが毎日学校から持ってくるプリントの整理ができないので、忘れ物をしてしまう。普通の親はこんなことないんだろうな、きっちり出来ているんだろうなって思うと申し訳ないなって思います」

「それって本当は僕たちの落ち度じゃないですか。だけど持ってこなかったのは子どもなんで、子どものミスになってしまう」

中村「ほたる(長女)の成績表。1学期の成績表が全部他のところ全部良いなのに、忘れ物だけ頑張ろうみたいになっていて、これほたるのせいじゃなくて親のせいやんっていう」

「1週間体育の授業2回ぐらいあるんですけど、汚れて、金曜日に持って帰ってきて洗濯して、月曜日に持っていくみたいなのがあるんですけど。金曜日の洗濯をうっかり忘れてしまったりとかして、ドロドロのまま2週その体操服で行くみたいな事になったりすると、例えばほたるが学校でなんか汚い体操服だなってことを言われて、いじめられるじゃないですけど、軽くいじられるようなことがあったりしたら、それって親の責任ですよね。そういう申し訳なさはあります」

「遺伝するとわかっていてなぜ産んだ」心ない声への本音と娘への想い

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 さらに、娘の成長を見守る中でちょっとした心配があるという。

中村「(長女は)言葉がすごく遅かったんですよ。成長が普通の子よりゆっくりかなっていうのもあって。あと天真爛漫すぎて、普通の子にある人見知りがなかったりとか、ちょっと気になる部分はあったから、言葉の発達の支援のところにちょっと行ってみたりとか、でも今普通にコミュニケーションとれてるし問題ないのかなと思って。それで言うとリオちゃん(次女)もちょっと変わり者なんです。リオちゃんの方が集団生活で和を乱したりとかしがちなので」

ーーすごく流暢に喋られてましたが。

中村「子どもなのにすごく大人みたいに喋るっていうのも発達障害のある子の特性とかもあるので」

 2023年7月に発売した書籍で“発達障害”をカミングアウトした際、「子どもへの遺伝」について心無い言葉を投げかけられたという中村。いまの胸のうちを語った。

中村「『障害があるのになんで子どもを作ったのか』という声とかをたくさんいただいた時には、やっぱり打ちのめされそうにはなったんですけれども、(発達障害が)遺伝するとわかっていて産んだって言われましても、遺伝って何でも遺伝すると思うんですよね。これは私の個人的な意見なんですけれども。じゃあ完璧な人間しか子どもを産んではいけないのかなっていう。みんなそれぞれ人間ですから、いいところもあれば悪いところもある。それは同じく子どもに遺伝するかもしれない。そういう視点でやっているので、発達障害やから子どもを産むなとかは、私としてはもう悲しくて仕方がない。またこれを言うとたくさんの反響があるかなっていう怖さはありながら、そこだけは私のぶれるところのない思いではあります」

 今後、娘たちの発達障害の検査を予定しているといい、どんな結果でも受け入れる覚悟があるという。

中村「1番親からの言葉って大きいので。その時に子どもの特性が分かっていないと、周りの子が出来るのに出来ないこと。なんであんたはできへんねんって言ってしまうと、その子の芽を潰してしまう。自分はダメなんやって思ってしまう。でもこの子には全然違ういいところがある。これを見てあげることができたら、ここを伸ばしてあげられる。それが分かっていれば親としても安心してここを伸ばそう、これは何とか助けてあげようでやっていってあげたら、その子の自己肯定感を保ってあげることができる。これが落ちてうつになったり、引きこもりになったりすることがすごく怖いことで。発達障害自体は特性だから。それ自体が大きな問題というよりは、その後の病気、次に発症してくる病気のことの方が怖くて、最後には自殺してしまう方もいたりするので。そうならないために、私は子どもの特性は早く分かりたいなと思っていて。だからどんな結果でもいい。あったらあったで、いいとこ伸ばしていこうっていうだけの話です。
だからこそ、その子にしかない特性があるので、いいところが絶対にあるんですよ。だからそこを一緒に探しながらやっていきたいなって思っています」

(『ABEMA NEWS』より)

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