岸田文雄総理が「岸田派」の解散を発表し、党内に動揺が広がっている。
 
【映像】岸田総理、派閥解散表明で見せた「ニヤリ顔」のワケ
 
 パーティー券裏金問題をきっかけに、自民党に政治刷新本部が立ち上げられたものの、結論を待たないまま、岸田総理が派閥の解散を発表した。安倍派や二階派が追随するなか、麻生太郎副総裁ひきいる麻生派や、茂木敏充幹事長ひきいる茂木派は反発を強める。茂木幹事長は1月19日、「派閥・政策グループのあり方については、政治刷新本部で議論を進めている。グループの仲間とよく相談していきたい」と語った。
     
 ジャーナリストの青山和弘氏の取材によると、茂木派の若手議員からは「岸田さんは聞くかもしれないけど議論しない。派閥解消もありかもしれないが、それでどう党運営をしていくのか検討していない。安易に突っ走るのはリスクが大きい」といった意見が出たという。青山氏は、この発言をしたのは若手議員のため、比較的穏健だとしながら、これまで派閥が新人議員の教育や情報交換を担っていたこともあり、「なくなったら、誰が新人議員の教育をするのか」と、人事部門や研修制度などの設置がないまま、派閥解散に踏み切ることへの不安が示されていると説明する。
     
 また、自民党幹部からは「こんな大事な話を相談もせず決めるなんてあり得ない」といった苦言が呈されたほか、ベテラン議員からも「(本部長である岸田氏が)刷新本部で議論している最中に、自分だけ抜け駆けするなんて、自分勝手にもほどがある」との批判が出ている。そして、麻生派の中堅議員からは「派閥の解散は本質からずれた議論。完全にポピュリズム」との批判が。一連の発言に見えるように、自民党内には大激震が起きている。青山氏によると、「麻生氏は相当不満をためている」という。
 
「自分たちは罪に問われていないのだから、解散する理由なんか全くないと。そうなると岸田さんは自民党総裁として、他の派閥は放っておいて、派閥によって対応が変わることになる。茂木さんも麻生さんに付いていこうという感じ。今の流れだと、麻生派と茂木派、森山派は解散しない。3派閥は解散、3派閥は残る。自民党はこれからどうガバナンスしていくのかという状況」(青山和弘氏)
 
 岸田政権は、これまで岸田氏、麻生氏、茂木氏による「三頭政治」で運営されていたが、今回の派閥解散によって、完全に亀裂が入ってしまった。青山氏が21日、麻生氏の周辺に取材したところ、「(麻生氏は)もう怒ってない。見放したんだ」と答えたそうだ。つまり、岸田氏は党内の政権基盤よりも、世論を選んだとして、「これで支持率が上がれば、『岸田降ろし』は起きないだろう」といった方向にかじを切った結果だと、青山氏は解説した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)