あなたは会社で、1日に何回「ありがとう」と言われているだろうか。感謝を伝える身近な言葉である一方、この言葉が意外と交わされていない実態が見えてきた。社内コミュニケーションは相手と自分にどのような効果をもたらすのか。
社内コミュニケーションに関する調査で、「会社で1日平均何回『ありがとう』と言われているか」と、全国の20~59歳のビジネスパーソン(男女920名)を対象に質問したところ、半数以上の人が1日平均3回以上ありがとうと言われていることがわかった。一方で、23.6%の人は言われていないという結果になった。(オフィスエンニチ調べ)
また、「あなたは仕事で関わる人からの感謝を感じていますか」という質問に対しては、「感じている」が59.7%で半数以上となった。
さらにネットの声では、「ありがとうと言われた回数を数えるより、自分が言う回を増やした方が良さそう」「何かをしてもらって当たり前という考えの人が増えている気がする」という意見もあった。
感謝を伝えることのメリットを精神科医の木村好珠氏に聞いた。
━━「ありがとう」にはどんな効果がある?
「『ありがとう』を伝える、また、言われることで副交感神経がとても高まり、心身ともに非常にいい影響があると言われている。ストレスの解消、免疫力の向上、自律神経が整う効果もあると言われている」
━━言う方にも効果がある?
「むしろ言う方に、より高い効果があるとされている」
━━感謝の気持ちを持つことが大事?
「『ありがとう ありがとう』と適当に言うわけではなく、自己中心的な考え方をせず、“無償の愛”というか、人に感謝の気持ちを持つことが健康にいいとされている。言った・言われた回数を気にするというよりは、本当に自分がありがたいと思った瞬間に、ちゃんと『ありがとう』と伝えることが大事。また、『この人にはこういういいところがある』『こういうところは感謝しなきゃいけない』と、“ありがとうを見つける目”になることも、自分の幸福度を上げることに繋がる」
━━それにより余裕も生まれる?
「幸福度という形でも言われる『ウェルビーイング』が流行っているが、それが高まるのが『ありがとう』を伝えること」
━━感謝の意味で使う「すみません」は変えたほうがいい?
「変えたほうがいい。例えば『すみません!すみません!』と言われると、『もうわかったから!』となる場合がある。『すみません』の後でも『ありがとうございます』と言われると、相手も好意的に受け取りやすい。『すみません』は謝る際には大事だが、その後がない。そればかり言うと相手がイライラすることもあるので、それよりは『すみません、助けていただいてありがとうございます』と言われると少し幸せな気持ちにもなれる。『ありがとう』は次に繋がる言葉でもあり、お互いにいい気持ちでその会話が終了する」
━━気恥ずかしさなどで、これらがあまり交わされない職場はどうか?
「よくない。感情を抑えてしまうと、自分の感情にどんどん蓋をして、感情の起伏が平坦になる。喜びも悲しみも“なんとなく”で終わってしまうので、喜びや感謝を感じたら言葉を伝えた方が自分も幸せになる」
また、円滑な社内コミュニケーションで大事なのは「ありがとう」を伝えることだけではないようだ。「社員同士が相互理解することにより、職場での意識に影響を与えると思うか」を調査したところ、「働きやすさなどに影響を与える」と回答した人は7割以上だった。一方、チームメンバーが悩んでいることやストレスに感じていることについて、半数以上が「知らない」と答えた。
━━社員同士の相互理解は大切?
「非常に大切。前提として、仕事以外のことを話し合える場は大事。悩みやストレスの元を人に話すのはかなりハードルが高いので、悩みを言わなければいけないというよりも、普段からきちんとコミュニケーションをとっていることが大切だ」
「プライベートを仕事に持ち込まない、オン・オフを全部割り切れるという人はそう多くない。人のパフォーマンス低下に気づいたとき、プライベートで何かあったことを知っていれば『今はしょうがないな』と思えるところでも、何も情報共有ができていないとただ怠けていると思われかねない。むしろ心配だという人がいても、微妙な距離感で話しかけられないこともあるだろう。普段のコミュニケーションがとれていれば、上司から『何かあった?』と話せるし、自分自身でも『いま辛いんです』と話せるので、普段からぜひコミュニケーションをとってほしい。その第一歩が『ありがとう』だ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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