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世界最高峰の格闘技イベント”ONE Championshipの約4年ぶりとなる日本大会=1月28日(日)東京・有明アリーナ「ONE 165」。当初、今大会ではロッタン・ジットムアンノンと武尊のスーパーファイトが予定されていたが、ロッタンが負傷欠場。ONEキックボクシング世界フライ級王者スーパーレック・キアトモー9と武尊によるタイトルマッチが行われることとなった。

ロッタン欠場が正式発表されたのは1月5日。大会まで一カ月を切ってのメインカード変更はイベントにとって死活問題だ。ましてや今回は久々のONE日本大会で、待望のONE初参戦を果たす武尊の対戦カードだけに、イベントそのものが失敗に終わりかねない状況だった。しかし結果的にはロッタンVS武尊にひけをとらないどころか、ロッタンVS武尊以上のカードが実現したと言える。

スーパーレックはONEキックボクシングの世界フライ級王者で、昨年9月の「ONE Friday Fights 34」ではロッタンと対戦し、計量オーバーがあったものの2Rにロッタンからダウンを奪って勝利している。“ロッタンに勝った男”としてONEキック・ムエタイ部門のトップ・オブ・トップにいるファイターだ。

ロッタンの代打出場となったスーパーレックだが、1月13日の「ONE Fight Night 18」でエリアス・マムーディとの防衛戦が予定されており、武尊と同じく対戦相手のマムーディが負傷欠場していた。スーパーレックとしては試合が後ろ倒しになっただけで、継続して試合用のトレーニングや減量は続けており、仕上がりは万全だ。

武尊はスーパーレックとのタイトル戦になったことで「ONEと契約したときにONEで戦いたいと思っていたのがロッタン選手とスーパーレック選手。こんなに早く組んでもらって嬉しい」と語っていたが、スーパーレックも武尊との対戦に気持ちを高ぶらせている。

「ロッタンと武尊の試合は世界中のみんなが楽しみにしていた試合だったから、ロッタンと武尊が戦った後、いずれ武尊と戦えればいいなと思っていた。今回はロッタンの怪我や色んなことが重なって、このタイミングで僕と武尊との試合が実現したんだと思う。日本で防衛戦ができると分かった時は興奮もしたし、光栄だと思った。武尊がONEと契約した時から、いつかやるだろうなと思っていたし、間違いなく武尊は世界のトップレベルの選手だよ」 

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この一戦はスーパーレック有利を予想する声が多い。スーパーレックが武尊と同タイプのロッタンに勝利していること、パンチで打ち合わずに蹴りで試合を組み立てられることが理由だ。スーパーレック自身は武尊に有利な部分もあるとしつつ、自慢の蹴りとテクニックで武尊を攻略するつもりだ。

「(スーパーレック有利の予想について)僕は決してそう思わない。確かに僕はONEキックボクシングの世界チャンピオンだけど、武尊もK-1の元チャンピオンでこのルールの経験も豊富だ。日本で試合するという部分でも自分にとってはいつもと環境が違う。そういったことも含めて、武尊に有利な部分もあると思うよ。

武尊はとても強いファイタータイプでスピードがある。あとはコンビネーションが上手いね。彼が打ち合いに強いことは当然分かっている。自分のテクニックで攻略できると思うし、出来る限り綺麗に戦って勝ちたい。
今回武尊を倒すために特別な技を用意しているから、それを見てもらいたい。僕の蹴りは危険な蹴りだから、武尊を蹴りで倒したいね。そして蹴りだけでなく様々なテクニックも用意しているから、そこも見てもらいたい」

今回のタイトルマッチは武尊にとって日本から世界へ羽ばたくきっかけになる試合だが、それはスーパーレックにとっても同じだ。ONEでタイ、日本、ブラジル、スペイン、オーストラリア、ロシア、アルジェリア、モロッコ、チュニジアと世界中のファイターたちと拳を交えてきたスーパーレックは「僕はONEという世界的なイベントのチャンピオンで、これまでも色んな国のトップ選手と戦ってきた。武尊は日本のトップだと思うから、彼に勝って自分が世界でNo.1だということを証明したい」と武尊戦=世界最強を証明する試合だと位置づけている。

日本のファンにメッセージを求めると「過去に日本でも試合をしたことがあるけど、ずっとまた日本で試合をやりたいと思っていた。こうしてまた日本に来ることができてうれしい。日本のファンに感謝を伝えたい」と語ったスーパーレック。「僕と武尊、どちらの応援でも構わないからぜひ会場まで試合を見に来て欲しい。何かサプライズが起こるかもしれないからね」とニヤリと笑った。

文/中村拓己

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