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【映像】日本は現金・預金5割超 日米の個人金融資産内訳
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 政府が推奨する新たな投資制度「新NISA」が始まり、3週間あまり。SNSには「初心者だけど初めてみた」「始めたもの勝ち」などの声があがり、株価もバブル後の最高値を次々と更新。まさに“始めなければ損”なのか。

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 一方で、懸念の声も大きくなりつつある。ある女性タレントが「国が推しているものにいいものがあるのかなって、何か裏があるんじゃないか」とテレビ番組で発言し物議に。また、一部には「年金が破綻するから自分で稼げという政府のメッセージ」「アメリカに日本の資金を流すための制度」などと唱える人もいる。

 新NISAの不安要素と今後について、『ABEMA Prime』で専門家に聞いた。

■新NISAで枠拡充、国のメリットは?

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 通常の投資では利益を得ると約20%の税金がかかるところ、NISA口座で投資した分の利益には税金がかからなくなる。今年から制度が新しくなり、制限があった非課税期間が無制限、非課税の投資枠も拡大。積立投資枠と成長投資枠の併用が可能になり、投資限度額が拡充されるなど、より利用しやすくなった。

 国のメリットとして、元日経新聞編集委員で経済コラムニスト、YouTuberの高井宏章氏は次のように話す。

「この四半世紀、国は“貯蓄から投資へ”とずっと言ってきた。銀行はお金を貸しはするんだけれども、新しい企業に投資はしない。そこでお金が投資信託などに移ると、リスクを取れる全体額が増える。新しいビジネスがやりやすくなり、国として成長力が高まる」

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 実業家の成田修造氏は「日本には上場企業が4000社ぐらいある。株価、つまり企業価値が上がると、資金調達力が上がる。使えるお金が増えると、例えば新商品の開発や従業員の給与に使われていくわけだ。アメリカは所得を投資に回すことによって企業・国を成長させてきたが、日本はほとんどやっていない。50%のお金が貯蓄に回り、成長投資ができないために生活が豊かにならないというスパイラル。これを逆転させようというのが、国としての大方針だ」と説明した。

■ネットで囁かれる不安の声…陰謀論?本当?

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 ネットで囁かれる声の中に、「NISAをおすすめしているのは金融業界が儲かるから」といったものがある。高井氏は「みんな積立で少しずつやる。NISAの口座は1つの金融機関でしか作れないので、今作ると長いお付き合になるわけだ。残高に応じて手数料がもらえる仕組みということで、行われているのは取り合戦。まだウハウハというほどのビジネスになっていない」と説明。

 「アメリカにお金が流れる政策だ」説についてはどうか。成田氏は「それは一部正しい。世界の株式市場の中でアメリカが圧倒的に大きく、僕らが使っているiPhoneやAndroidもそこの上場企業なので、どうしてもお金は流れる。ただ、全世界株式投資信託に投資すれば他にも分散される」と述べる。

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 一方で、YouTubeやネット記事の「1秒でも早く始めないと損します」といったオススメ言説が不安を煽っているのではないか。高井氏は「そこまで煽るようなものは良くない。そんなに焦る必要はなく、やりたくなったらやればいい」と指摘した。

 そもそも日本人は“投資アレルギー”が強いのか? 「実はけっこうリスクをとるのが好きだ。例えばFXは株式投資よりはるかにリスクが高いが、やっている人は多い。ギャンブルも好きだし、株式市場の7割ぐらいが個人投資家だった時代もある。そこから投資ではなく貯蓄してください、銀行にお金を集めて足りない産業へ、という政策を高度成長期にやった。定年まで勤め上げれば年金がもらえて、お金の心配をしなくてもいい社会を作ったが、今はそうではなくなったので“もう一回投資してもらえませんか?”ということだ」とした。

■「“税金は取らないから、するかしないか選んでください”ということ」

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 「団塊の世代」約800万人が後期高齢者となる2025年問題が迫り、2050年には1人で1人を支える肩車型の社会構造になる。

 高井氏は「“自分で何とかしてください”という側面が強まっているのは、人口の構造を見れば明らかだ。公的年金が破綻するとよく言われるが、仕組み上はたぶんない。ただ、もらえる年齢がだんだん後ろにずれていくと思う。そもそも平均的な年齢よりも長生きした人に渡すという形で、ドイツで始まった仕組みだ。日本の平均年齢は80歳なので、その先まで生きたら国が面倒見る、という時代にこのままだとなってしまう」との見方を示す。

 NISAはそうしたことを踏まえての自己責任ということか。「仕組みがこれだけきれいにできて、普通に投資するなら十分な枠がある。“投資は自己責任”とよく言われるが、これはもう“税金は取らないから、やるんだったらあとは自分で考えて、するかしないか選んでください”ということだ」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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