【写真・画像】 1枚目
【映像】解説:本気のボランティアの服装
この記事の写真をみる(4枚)

 能登半島地震から1カ月。被災地ではあらゆる面で支援が求められる中、「ボランティア活動」の準備と心がけることをピースボート災害支援センター代表理事の山本隆氏に聞いた。

【映像】解説:本気のボランティアの服装 

━━当初は「ボランティアの人はまだ来ないでください」という呼びかけもあったが、現在の能登半島地震における災害ボランティアの状況は?

「被害が甚大だった輪島・珠洲両市を始めとした半島の先端部分も含めて災害ボランティアの活動が始まろうとしている。阪神大震災、東日本大震災を経て災害ボランティアが災害復興の中で必要な役割を担うことは明らかになっている。今後、ボランティアの必要性は高まっていくだろう」

━━ボランティアに来る人が「どこからか来るか」についても制限があったが、ここにも変化は起こっているのか?

「インフラが破壊され、現地へのアクセスが限られる状況下で一気にボランティアの方に来られると深刻な渋滞が起きたり、現地のリソースをとったりするため、『現地に行くのは待ってください』というような案内があった。また、元々災害ボランティアは『まずは地元で募集し、足りなければ外部から』という広げ方をする。今、ようやく外部への募集が始まったような状態だ」

━━一部の地域におけるボランティアはまだ地元の方のみ、そして別の地域では全国から募っており、ホームページで最新情報が確認できるようだ。次に、被災地においてボランティアは具体的に何をするのか?

【写真・画像】 2枚目
拡大する

「本当に多岐にわたっている。例えば家屋の清掃、水害の場合は泥かき・撤去といったような力作業、ライフラインの復旧にも時間がかかり避難所生活が長く続く場合は避難所関係の清掃・手伝い。さらには支援物資を貯蔵している倉庫の整理など、直接被災者に会わない作業も非常に重要だ。被災者の方を直接的にサポートする作業ももちろん大事だが、ボランティアがスムーズに動くための支援も欠かせない」

━━実務の希望は出せるのか?

「ケースバイケースだが基本的にはなかなか選べず、災害ボランティアセンターに来ていただき、その時に必要となる業務をやってもらうことになる。状況によって『こういう作業が必要になります』というような案内は事前にホームページ等にも掲載される」

━━高校生や未成年はボランティアに行くことはできるか?

「できる。特に能登のように被災地の若者の人口が少ないと若手=高校生となり、高校生が主力で活躍した。もちろん外部の高校生もボランティア活動ができる」

━━長期でボランティア活動をするケースもあるのか?

「長期のボランティアの募集が始まってくると例えば1週間、長い方だと2週間、1カ月の滞在型のボランティアも発生してくる。そういった部分では、学生の方ができることも多いと思われる」

━━ボランティアに参加する前に「宿泊先」「食事」「仕事着・道具」「保険」などの用意は必要か?

「『自分で用意して来てください』というのがボランティアの基本になる。特に、能登半島地震においては現地での宿泊が難しいので金沢などに自分で予約して泊まり、バスでボランティアに行く。食事についても現地で水道が出ず、炊き出ししか食べるものがないという状況も起こるため、食事は自分で用意していただくことになる。また、非常に重要なのは保険を自分で用意することだ」

━━保険ではどのようなことが補償されるのか?

「ボランティア活動保険というものがあり、ボランティアをする前に自分が住んでいる社会福祉協議会で申し込む。ボランティア作業中のケガ、賠償責任が生じるような物を壊してしまったケースなどもカバーできる。一度保険に入ると1年間は有効だ」

【写真・画像】 3枚目
拡大する

━━ボランティアはどのような服装・装備で行うべきなのか?

「作業によってかなり違うが、家屋の清掃・泥かきなどであれば、上から帽子orヘルメット、ゴーグル、防塵マスク、首にタオルや手拭い、長袖の服、手には厚手で長めのゴム手袋、長ズボン、水筒、鉄板が入った長靴、靴下(洗濯ができないため、濡れる環境では複数枚)などの装備が一般的でポーチなどに雨具、梅干し、ミニ応急セット、貴重品などを入れて携帯する」

【写真・画像】 4枚目
拡大する

━━他にもボランティアに行く際に心がけるべきことは?

「一番重要なことは『自分の安全確保』だ。石川ではまだ地震も多く、ボランティア中も力仕事中にケガをするリスクがあるが、ボランティアのケガによってリソースが取られてしまっては本末転倒だ。また、『待ち時間を想定すること』も大切だ。役割分担など段取りがうまくいかない現場ではやる気持ちはわかるが『待ち時間も含めてボランティアだ』と心を落ち着けてほしい。さらには、熱い気持ちでボランティアを続けたことによる『燃え尽き症候群』にも注意が必要だ。もちろん、『頑張ってください』などの安易な声がけは禁物で被災者の立場を理解してほしい」

━━燃え尽き症候群を予防する方法はあるのか?
 
「一旦被災地に入って被災者の方と話していくと、辛い話を聞くことにもなる。ただ、それを受け続けていると受け止めきれない部分が当然出てくる。そのため、一旦は離れて冷静な自分を保つということが重要だ」

━━厳しい状況で作業できるような強いメンタルの持ち主でなければ、逆に迷惑をかけてしまうのだろうか?

「メンタル面も含めての強靭さはやはりある程度必要になってくる。しかし一方で長期的に考えた時に心身ともに強靭な人ではなくても十分できるようなボランティアがある。段階・時期に合わせて考えていただきたい」

━━長期的な支援におけるボランティアの役割は?

「今後も二次避難で地元を離れて避難する方、みなし仮設に入る方の引っ越し作業が増えるため、その手伝いは必要になる。さらにその後は施設を回りながらいろんな話を聞く、その集会所でイベントを開催するといった活動も含めて肉体的・精神的にマッチョな人ではなく、柔らかく話ができるような方が来ていただくのもいいかもしれない」

━━今後、ボランティアの募集期間が長くなる可能性もあるか?

「あるだろう。残念ながら復興はすぐには終わらない。年単位での支援が必要になる」
ABEMA NEWS)

【映像】解説:本気のボランティアの服装
この記事の写真をみる(4枚)