将棋の藤井聡太竜王・名人(王位、叡王、王座、棋王、王将、棋聖、21)が、「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」で自身が所属するチーム中部の「地域会」に参加した。名古屋市役所本庁舎で河村たかし市長を表敬訪問した際には、対局時の「次の一手」を示すAIの候補手と自身の感覚の差について問われる場面も。「最善といっても『ウソでしょ?』みたいな手もある」との見解を示す師匠の杉本昌隆八段(55)に対し、八冠王は「ありません」と返答し、周囲を驚かせていた。
【映像】師匠もビックリ!藤井竜王・名人の回答(7分40秒頃~)
日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」で、藤井竜王・名人はチーム中部にエントリー。監督を務める師匠の杉本八段に出場登録棋士として選出された。大会PRと地元からの応援パワーをもらうべく、師弟コンビは河村名古屋市長の元へ。羽織袴姿の市長から歓待を受けていた。
普段から将棋観戦を楽しんでいるという河村市長は、「コンピューターによる予想パーセントが出るようになって(観戦が)また面白くなったわね」と愛知県を代表するスーパースターの飛躍に心を躍らせている様子。藤井竜王・名人も「はい、あれ(将棋AI)が無いと、今の局面がどうなっているかわからないという方が多かったと思います」とうなずいていた。
さらに河村市長からは「最善手のままずっと行けば勝つということなんだよね?」との問いも。杉本八段は「でも、“人間的にはありえない手”もあって、最善といっても『ウソでしょ?』みたいな手もある」との見解を示した。杉本八段は、「藤井竜王・名人はどうですか?自分の指した手と評価値の違いを見て『これ絶対に指せる訳がないよね』みたいなのありますよね?」と同意を求めたものの、棋界の頂点に君臨する絶対王者は「いや、それはありません」とバッサリ。あまりに無邪気な回答に、師匠と言えどもも「無いの!?」と驚きを隠せず、「だから八冠なんですね」と苦笑いを浮かべていた。
藤井竜王・名人の思考に、河村市長も興味津々。将棋研究におけるAIの活用方法について問うと、藤井竜王・名人は「振り返りの時にAIを使うことが多い」とし、「自分が対局中に考えていたこととソフトの評価値を比べて、という感じで使っています」と回答した。また、「思いもよらなかった手がソフトに提示されることはある?」との問いかけには「時にはある」といい、「自分が気付いていない感覚に触れることもあるので、それは凄く勉強になります」と語った。
藤井竜王・名人が所属するチーム中部は、監督の杉本八段の元に愛知県一宮市生まれの豊島将之九段(33)、静岡県出身の八代弥七段(29)、富山県富山市出身の服部慎一郎六段(24)と現在の将棋界をけん引する名実ともにトップクラスの棋士たちが集結した。2月3日放送の初戦では、畠山鎮八段(54)率いるチーム関西Bと激突。どのような戦いが繰り広げられるか、その活躍に大きな期待が寄せられている。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)