「正直に言うと紅茶に食塩はめちゃくちゃです」(イギリス人)
「(紅茶に食塩を入れる人と)一緒にしてほしくないです。私のやり方ではありません」(アメリカ人)
アメリカとイギリスの間で“紅茶論争”が勃発し、ロンドンのアメリカ大使館が「アメリカの公式な方針ではない」と釈明する事態となった。
きっかけは、24日に発表されたアメリカ・ブリンマー大学の科学者フランクル教授のお茶について研究した著書。その中では「紅茶の完璧な入れ方」として、苦みを抑えるために食塩をひとつまみ入れることを提案している。
1日に3杯以上紅茶を飲む人が55%もいるというイギリスで、紅茶は身近な飲み物だが、果たして、イギリス人の怒りはどれほどか? ANNロンドン支局のアダム・ピゴットプロデューサーに聞いた。
━━米CNNはアメリカ独立戦争の転機となった250年前のボストン茶会事件以来となるアメリカとイギリスの外交論争が勃発していると伝えているが、イギリス国民はこの件をどのように受け止めているか?
「一言でいうと怒っている。変なプライドかもしれないが、アメリカ人に紅茶のことは言われたくない。イタリア人もピザにパイナップルをのせるなと怒るが、それと同じ気持ちだと思う」
イギリスの怒りに対してロンドンにあるアメリカ大使館は「イギリスの国民的飲み物に塩を加えるというあり得ない考えは、アメリカの公式な方針ではない」と釈明。ただ、この声明の最後に「アメリカ大使館はこれからも正しい方法で、紅茶を入れ続けます。電子レンジを使って」と記されたのだが、この「電子レンジを使って」という箇所に、イギリスの内閣府は「紅茶はケトルを使ってしか作れない」と反発。アメリカ人は紅茶を入れるためのお湯をケトルではなく、電子レンジを使う人も多いという。
━━実際に食塩を入れた紅茶を飲んだ感想は?
「正直あまり変わらない気がする。苦味をやわらげたいなら、塩より砂糖のほうが絶対美味しい」
━━さらにフランクル教授は「最高のミルクティーの入れ方」として、「先に牛乳を注いでから紅茶を入れるべき」とも提案し、論争になっているという。どういうことか?
「イギリスではミルクティーを作るときにミルクが先か紅茶が先か、そもそもみんな悩んでいる。世論調査では79%の人が『紅茶を先に入れる』と回答していて、フランクル教授のミルクティーの提案にもイギリス人は否定的だ」
━━改めてイギリスとアメリカの紅茶論争をどう見るか?
「皮肉だ。この熱い論争のきっかけはアメリカとイギリス大使館の間の寒いジョーク。とはいえ、大使館同士がこんなにジョークを言い合えるチャンスは普段ない。たまにこういうニュースも必要かもしれない」
(ABEMA/倍速ニュース)