「重要指名手配犯に似た人物がいる」という警察のフリーダイヤルに寄せられた情報をきっかけに、潜伏先のアパートにいた金成行(きん しげゆき)容疑者が逮捕された。
【映像】六代目山口組と金容疑者の関係性
金容疑者は2020年9月、長野県宮田村で男性の脇腹を拳銃で撃って逃走し、行方がわからなくなっていた。事件から7日後に殺人未遂で指名手配され、2021年には重要指名手配となっている。なぜ殺人未遂容疑で、凶悪犯の多い重要指名手配となったのか。裏社会に詳しいジャーナリストの石原行雄氏は、「金容疑者を放置すると、大抗争に発展する可能性があった」と説明する。
「金容疑者は、いわゆるヒットマン。撃たれた男性は金容疑者の弟分で、『絆會』を裏切って、敵対する『六代目山口組』の三次団体に移籍。説得したが止められなかったので撃った」(石原行雄氏)
事件を知る手がかりとなるのは、日本最大規模の特定抗争指定暴力団である「六代目山口組」の分裂騒動だ。2015年に組織運営をめぐり、六代目山口組から「神戸山口組」が分裂し、対立が激化した。2017年には神戸山口組から、後の「絆會」となる団体が分裂。金容疑者はその幹部だった。
金容疑者が3年以上逃げられた理由として、石原氏は「所属する組織から支援を受けていたのは確実」とみている。過去には日用品を買いに行くのも、支援者がサポートしていた例もあるそうだ。報道によると、逮捕時に住んでいたアパートは、暴力団関係の企業名義だった。暴力団関係の会社は、アパートを借りられるのか。事情通の不動産会社社長は「暴力団関係者の契約は絶対にできない」と語る。各地に暴力団排除条例がある上、重要事項の説明書で「関係者と思われたら即解約・通報」されるという。保証会社を通せば、住民票や収入証明が必要となり、偽名も難しいそうだ。しかし、「仮に幽霊会社を暴力団が買って契約していれば、僕らは追跡できない」と話す。
石原氏は、金容疑者がヒットマンだった可能性として、長野での事件以降、六代目山口組、特に幹部クラスの関係者が銃撃で死亡する事件が起き、「いくつかは未解決になっている」と紹介する。2022年に水戸市で暴力団幹部が射殺された事件に金容疑者が関与した疑いがあるとして、茨城県警が逮捕状をとっていたことが明らかに。さらに石原氏によれば、2023年に神戸市で起きた暴力団幹部のラーメン店長が射殺された事件にも、関与した可能性があるという。
金容疑者は「絆會のナンバー2」のポジションにいる。神戸ラーメン店長の射殺は当初、「足抜け」をめぐるトラブルという説もあったが、「六代目山口組に対する絆會の暗殺行為であった可能性が高まっている」と指摘する。今後について石原氏は、金容疑者の捜査が進み、未解決事件の詳細が明らかになるにつれ、六代目山口組が報復して「絆會との戦争に発展しかねない」との見方を示した。
(『ABEMA的ニュースショー』より)