「世界水泳ドーハ2024」4日目が2月5日に行われ、女子10m高飛込決勝では中国の全紅嬋が436.25点、陳芋汐が427.80と、金銀のメダルを独占。東京五輪でも同種目でワンツーフィニッシュを決めた2人が、今夏のパリ五輪を前に上々の仕上がりを見せた格好だ。最終演技者となった陳は、既に全の優勝が確定していた状況だったものの、集中力を切らさず完璧な演技。踏み切り分を加えれば10メートル以上の高さから飛び込んだにもかかわらず、水面に起きた水しぶきはわずか10数センチレベルという神業で、会場を大興奮させた。
もはや人間の体積が無視されているとでも言うべきか。直前に飛んだ全と同じく、5253B(後宙返り2回半1回半ひねりえび型)を選んだ陳は、鋭い回転から水面に向けてしっかりと体勢をまっすぐにすると、タイミングがずれることなく完璧な入水。全くゼロとはいかないものの、おおよそ人が飛び込んだとは思えないほど小さな水しぶきだけ上げて、陳の体は水中に消えた。
陳の体の半分にも満たない物を放り込んでも、もっと大きな水しぶきがあがりそうなものだが、入水の角度や姿勢が完璧だからこその“ノースプラッシュ”。圧巻の演技に、パリ五輪の表彰台も再びワンツーフィニッシュが決まる、そんな予感をさせる光景となっていた。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)