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【映像】自作自演を行う「新宿の女」とは
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 SNSの別アカウントで自ら「いいね」を量産したり、お金でフォロワーを買ったり。自作自演はかつてから横行していたが、近年、それをビジネスにしている人がいる。

【映像】自作自演を行う「新宿の女」とは

 Xでフォロワー数約4万人のアカウント「億り人ちゃん」を稼働させている、タカヒロ氏。あか抜けやダイエット、かわいくなる方法など、女性が興味を持ちそうな内容を、あたかも女性が経験し発信しているかのように自作自演。フォロワー数を増やし、最終的に不動産関連の本アカに繋げることが目的だ。このような別アカは複数持っているという。

「一番大きくて50万人ほどのアカウント。男性より女性のほうがSNSを見ていると思っていて、女性をターゲットにバズらせることを心がけている」

 さらに、自作自演のビジネス活用は炎上商法も。『ABEMA Prime』で、「新宿の女」というYouTubeチャンネルやXアカウントを運営するBOSS氏にその実態を聞いた。

■「SNSを見ている人の8割は過程に関心がない。その瞬間おもしろそうなものになびく」

 「新宿の女」は、主にキャバクラ、風俗、ホストなど、夜の仕事関係の人からネットでのPR代行を受け付け。中には「炎上させてほしい」という依頼もあり、そんな時に行うのが“自作自演“だ。

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 実際にホストから依頼を受けた例は、(1)ホストの客と彼女になりすましたXアカウントを作る、(2)彼女役が“ホストと付き合っている匂わせ投稿”をし、客が嫉妬する状況を作る、(3)客役が「風俗で働いてまで推しているのに」などと投稿し、客役への同情と彼女役へのヘイト(敵対心)をためる、(4)新宿の女の自作自演だと種明かしして炎上した結果、ホストへの関心も高まる、という構図だ。

「一つ抜きん出るために、悪い方法でもいいからまずは目立たせたいと。夜職の人間は失うものがない業種だ。悪名は無名に勝るではないが、目立った後にブランディングをし直して、きれい売りをしていくのか、はたまたその一発で集客に繋がったりする」

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 “新宿の女が紹介している=仕込みだ”と思われないのか。BOSS氏は「長いフォロワーさんは“何か企画が始まったな”となるが、SNSを見ている人の8割はその過程に関心がない。今この瞬間に面白そうなものになびく」との見方を示す。

 では、自作自演は悪なのか。「悪だとは思うが、同時に自分の武器になりうる。何かを発信したい、商品を売るという時に、主張が通りやすく、その手段を僕は今1つ持っている。良い悪いは本当に考えてない」と述べた。

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 去年10月、景品表示法にステマ規制が盛り込まれ、法的にNGとなったばかり。宣伝には見えない自作自演の炎上商法はセーフなのか。リデル代表で国のステマ規制検討会にも出席した福田晃一氏は「内容の良し悪しは関係なく、広告であるにも関わらずそれを明瞭に明かさず一般消費者に誤認を与えてしまう行為が規制される。対象になるのは広告の依頼主側なので、いわゆるインフルエンサーなどの個人は当たらない。BOSSさんは罰せられない」と説明した。

■人は誰しも自作自演する? ネットに疲れも?

 ビジネス目的ではない自作自演も多い。自分の投稿に別アカウントから「可愛い」とコメントする、痴漢に嘆く投稿に別アカから「どうせ被害に遭いやすい格好してたんだろ」とコメントして同情の声を集める、といった行動。明治大学教授で臨床心理士の諸富祥彦氏は、「承認欲求を満たすため。欲求に従って行動してしまうので、人は誰しも自作自演する」としている。

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 一方で、福田氏は「承認欲求はだんだん減ってきていると思う。それよりも、今は“関係維持欲求”。わかり合える場所で、小さなコミュニティでもいいからここで議論したいと。Xで言うとどうなるかわからないので、チャットコミュニティで話すというものになってきている」と分析する。

 BOSS氏にも承認欲求はあったというが、「SNSを長くやると同時に、“くだらないな”と。みんながあらぬことを信じてしまう現実に心が荒み、ビジネスマインドに切り替えた。自分の思いどおりになっているのはある意味皮肉だし、リツイートしてどうのこうのとかバズっているから何?と。数字だけのものになった」と変化したそうだ。

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「テレビ黄金時代の優秀なプロデューサーと発想が同じ。視聴者を単なる数字として捉えて、それをいかに上げるかということだけに能力を投入する。向こうに人間がいることをあまり意識していない。1970、80年代にはそういう空気があった」と指摘。

 一方で、「2000年代にインターネットが広がり、“この世界で頑張るぞ”という楽しさが2010年代ぐらいまであった。しかし、ネットの広い世界に我々は疲れ始めていて、もう少し狭い共同体に依拠したいという欲求が高まってきているのは間違いないと思う」とした。(『ABEMA Prime』より)

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