「世界水泳ドーハ2024」9日目が2月10日に行われ、男子10m高飛込決勝では、オレクシー・セレダ(ウクライナ)が自己ベストとなる528.65点をマークし、ワンツーフィニッシュを決めた中国勢に続き、銅メダルを獲得した。最終6本目の演技では、難易度3.6の5255B(後ろ宙返り2回半2回半ひねりえび型)を、ほぼ完璧に97.20の高得点。“飛込大国”として個人、シンクロの金メダルを独占する中国の牙城を崩すべく、ウクライナの勇者が立ち上がった。
今夏に行われるパリ五輪まで約5カ月。前哨戦として行われた世界水泳では、過去の大会と同じく中国勢が飛込競技を制圧状態だ。男女、高さを問わず個人種目であればワンツーフィニッシュ、シンクロでも2位以下を大きく引き離す無双ぶり。昨年の福岡大会では、男子10m高飛込だけカシエル・ルソー(オーストラリア)が金メダルで、その他の種目は全て中国が制した。
パリ五輪で全種目制覇に燃える中国が、今大会では男子10m高飛込を独占したが、果敢に挑むのはウクライナの成長株、セレダだ。最終6本目では高難度の5255Bを選択すると、銀メダルだった曹縁(中国)には空中姿勢の美しさでやや劣ったものの、水しぶきを上げない「ノースプラッシュ」を決め、中継の実況者からは「これはすごいぞー!」と驚きの声。観客席からも点数が出る前から大歓声と、無数の指笛が鳴り響いた。
銀メダルの曹縁までは24.55点差、金メダルの楊昊(中国)までは35.40点差と、決して開きは小さくないが、あと約5カ月の時間でセレダがどこまで伸ばしてくるか。さらに自己記録を更新するスコアが、絶対的な強さを誇る中国勢を倒すには必要だ。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)