締めの1本だけでも107.30点。もはや異次元の演技に解説者が思わず笑ってしまった。「世界水泳ドーハ2024」9日目が2月10日に行われ、男子10m高飛込決勝では、楊昊(中国)がトータル564.05点で金メダルを獲得。最終6本目の演技では100点を超えるスーパー演技で、優勝に華を添えた。解説者は笑い、観客は「うおー!」とどよめく圧巻の1本だった。
過去の大会と同じく、今大会でも個人、シンクロを問わず金メダルを取りまくる中国勢。ただ、男子10m高飛込は昨年の福岡大会で、唯一金メダルを逃した種目だった。“飛込王国”として目指すのは全種目制覇。今夏のパリ五輪に向けた前哨戦の意味合いもある今回、圧倒的な強さを見せて、五輪での金につなげるべく楊昊が躍動した。
同じく中国の曹縁と、金メダルをめぐるマッチレースの様相だった最終6本目、楊昊は難易度3.7の109C(前宙返り4回半抱え型)を選択。リズミカルな助走から、勢いをつけた踏み切り、高速の回転、しっかりと狙いを定めた入水と、全てがほぼパーフェクト。“ノースプラッシュ”が決まった直後には、解説者から「うわーはっはっはー。すごい!」と、すごすぎて笑うという瞬間もあった。
後に表示された得点では、7人の審判のうち10点満点を3人、9.5点が4人と、フルマークに近いもの。高難度にしてこの完成度を誇るが、全審判に文句なしで10点をつけさせるべく、さらに演技に磨きをかける。
(ABEMA『SPORTSチャンネル』)