最先端の研究を進める若手棋士が、研究は「終わった」と断言したものが、やっぱり終わっていなかった?日本全国を8つのブロックに分けた団体戦で行われる「ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治」予選Bリーグ1回戦・第2試合、関東B 対 九州が2月10日に放送された。関東Bの増田康宏七段(26)が、矢倉戦の一種である「脇システム」について、自身の著書で「先手勝ち」の結論が出たと語っていたことについて、出版された後「先手でやって負けたんです」と明かし、チームメイトの大爆笑を巻き起こすこととなった。
【映像】増田康宏七段、先手必勝?の脇システムで「でも負けたんですよね」の瞬間
「脇システム」とは、将棋界伝統の戦型である矢倉の一種で、序盤△6四角に対して、▲4六角と、先後同型で指し進めていくもの。居飛車党の棋士たちが深く研究を進めたもので、今なお有力な戦法として採用されている。そんな脇システムについて、衝撃のコメントを残していたのが増田七段。佐々木大地七段(28)との共著である「現代将棋ってこういうこと」を2023年2月に出版すると、この中で脇システムについて触れたことが大きな話題に。将棋ソフト(AI)を活用した研究によって、先手が勝つことが明白になったことで研究が終了し、今後は指されないという可能性を増田七段が示したからだ。
以前には「矢倉は終わった」でも有名になった増田七段の、斬れ味ある言葉だけにプロ・アマ問わず、脇システムに注目せざるを得なくなった中、第3局は九州・古賀悠聖五段(23)が先手、関東B・森内俊之九段(53)が後手で始まると、その脇システムに向かって進行。すると関東B監督の渡辺明九段(39)がおもむろに、増田七段に向けて「システムは終わったって、何かに書いていたじゃん」と話しかけた。
著書で、この戦法なら先手必勝と語っていただけに、どんな答えが出てくるかとファンも注目する中、増田七段は「書きましたね。先手でやって負けたんです」と苦笑いしながら告白。思わずチームメイトが一斉に爆笑することとなった。将棋ソフトの活用によって、一度使われなくなった雁木を再評価、流行させたことがある増田七段だけに、「脇システムの研究は終わった」件も、各所で話題になったが、今回はまだまだ研究の余地がある模様。大きな笑いが生まれた控室の様子に、ファンからも「めちゃくちゃ面白いじゃん」「増田のすべらない話www」「増田は全てを終わらせる」「終わってるけど負けたのは草」といった反応が多く寄せられていた。
なお対局は、後手の森内九段が勝利。ここでも「脇システム・先手必勝」は実現しなかった。
◆ABEMA地域対抗戦 inspired by 羽生善治 全国を8ブロックに分けた「地域チーム」によって競う団体戦。試合には監督とチームから選ばれた出場登録棋士の4人の計5人が参加可能。試合は5本先取の九番勝負で行われ、対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。試合は1試合以上出場する「先発棋士」と、チームが3敗してから途中交代できる「控え棋士」に分かれ、勝った棋士は次局にも出場する。先発棋士は1人目から順に3人目まで出場し、また1人目に戻る。途中交代し試合を離れた棋士の再出場は不可。大会は2つの予選リーグに4チームずつ分かれ、変則トーナメントで2勝すると本戦進出。ベスト4となる本戦は通常のトーナメント戦。
(ABEMA/将棋チャンネルより)