大川原化工機事件とプレサンス事件、ともに冤罪であることが明らかになっており、ずさんな捜査や自白強要、そして脅迫などが指摘され問題になっている。
 
【映像】冤罪被害者が語る“高圧的”な取り調べの実態
 
 2020年に大川原化工機の社長、取締役など合わせて3人が外為法違反の容疑で逮捕された「大川原化工機事件」と、2019年に株式会社プレサンスコーポレーションの前社長が横領容疑で逮捕された「プレサンス事件」。2つの事件では「無罪を主張し又は黙秘権を行使している被疑者・被告人について殊更に長期間身体を拘束する交流・保釈の運用(日本弁護士連合会より抜粋)」とされる“人質司法”の問題も浮き彫りとなった。
 
 大川原化工機の大川原正明社長は11か月にわたる拘束で体重は7キロ減。「黙秘していると拘留が長引きますよ」と言われ、取り調べのときはもちろんトイレや食事のときでさえ手錠をかけられ、まるで犯人のように扱われたという。
 
 プレサンス元社長の山岸忍氏は女性検察官から言葉巧みに自白をとられ「こちらのハートに入ってきて味方だと思わされる。で、結論的には自分たちの都合のいい誘導をしていく」と回顧。自身と検察の法律の知識には大きな差があったとして「プロボクサー(検察)と素人(山岸氏)の戦いになる」と説明した。また、山岸氏の部下のKは取り調べ時に「今回の風評被害を受けて、会社がこうむった損害額を賠償できるのか? 10億20億ではすまない。それを背負う覚悟はできているのか?」と脅迫ともとれる発言を受けていたことも明かされた。部下Kに必要以上に強く責任を感じさせ、検察の思い通りの発言を引き出す狙いがあったとみられる。
 
 プレサンス事件で弁護を担当した元大阪地検検事・亀井正貴弁護士は検察のスタンスとして「自白を得たい。もしくは(被疑者にとって)不利な供述を得る。そのことによって有罪の証拠を作っていくというのは、これはもう普通の話」と解説した。
 
 冤罪を明らかにすることができた2つの事件だが、元裁判官の木谷明弁護士によると「大川原化工機事件とプレサンス元社長事件、この2つは支援者、弁護士、財力など、かなりめぐまれた事例で、一般市民が冤罪で捕まったとしても人質司法から簡単に抜け出すことはできない」と指摘した。
 
 また、亀井弁護士は「今回の共通点が何かと言うと、消極証拠(犯人ではない可能性を推測させる証拠)についての手当てがなされていないということ」とコメント。「通常検察は消極証拠(存在しない事実の証拠)。まず積極証拠で向かっていって、消極証拠が出てきたらそれを潰せるかどうかを見る。消極証拠を潰せたうえでやっていくが、その潰す作業というのをなぜかやっていない。なぜこれで起訴したのか、というのが正直第一印象だった。山岸氏はいわゆる乗っ取りのための資金というのを出しているという構図になっていて、一番最後に逮捕、拘留されているが、山岸氏が(空いた)穴に入ってこないと全体の絵が描けない事案、構図として。だから山岸氏は必要だった。だからその観点で消極証拠の検証というのがまずかったのかなと思う」と解説した。
 
(『ABEMA的ニュースショー』より)