【写真・画像】「つい次が見たくなる」 WWE実況が大乱闘劇に見た“伏線” 大一番で勝つのは「頂点まであと一歩の男」か… 【清野茂樹アナ連載#4】 1枚目
【中継】“悪魔の檻”『イリミネーション・チェンバー』で大男激闘中
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 昨年10月に日本“再上陸”を果たしたWWE。その日本語実況を務める“WWEウォッチャー”の清野茂樹アナウンサーが、大一番直前に感じたスポーツエンターテイメントの“真髄”とは?

【中継】“悪魔の檻”『イリミネーション・チェンバー』で大男激闘中

 連載第4回のキーワードは「出し惜しみしない本気」。24日夜に開催される『イリミネーション・チェンバー』直前の放送を実況した清野アナが、自らを“煽られた視聴者”と評したフィナーレに、WWEの魅力が凝縮されていた。

“出し惜しみしない”WWEの魅力

 WWEは“出し惜しみしない”のも特徴のひとつです。これは豊富なロースターを誇るからこそできることで、持ちうる人材は存分に駆使します。

 試合はもちろん、乱入やバックステージでのほんの一瞬の会話のためだけにスーパースターが登場することも少なくありません。料理に例えると、隠し味に高級食材を惜しげもなく使うようなもの。だからこそ、WWEの提供するショーは毎回が贅沢で、ついつい次も見たくなってしまうのです。

 今回のSMACKDOWNは、日本時間24日夜の『イリミネーション・チェンバー』直前ということで、煽り要素がたくさん盛り込まれていました。特にメインイベントは、男子チェンバー戦を控えたLAナイトとドリュー・マッキンタイアのシングルマッチのみならず、リングサイドにローガン・ポールとケビン・オーエンズが取り、さらに試合後にボビー・ラシュリーも加わって、最後の最後にはランディ・オートンまでも乱入する豪華さ。“悪魔の檻”に入る6人全員を投入して番組は終わったのでした。

 WWEは、こうした次に向けた煽りは抜群に巧いのですが、特筆すべきは、登場人物を総動員するだけではなく、その中に伏線をいくつも張るところです。具体的に言えば、最後にランディ・オートンが入ってきた絶妙のタイミング。視聴者にはドリュー・マッキンタイアが乱闘を制したと思わせておいて、フレームインしたオートンが得意技RKOを決めて、主役の座をかっさらって行ったからです。ああ、やっぱりここで出て来るんだ、と頭一つ抜けた存在であることを印象付けました。

 2つめは、大乱闘の最後でぶっ倒されたドリュー・マッキンタイアの立ち位置を改めて鮮明にしたことです。私も実況の中で触れましたが、「頂点まであと一歩の男」がついに主役の座を射止められるか? という目線も視聴者に再提示したとも解釈できます。これまでの彼の試合を見てきたファンは「今度こそは」と感情移入できるでしょうし、この乱闘も活きてくるわけです。

 3つめは、ボビー・ラシュリーがこの日の試合で右ヒジを負傷したこと。最後の乱闘に加わったラシュリーは負傷箇所に真っ白いテーピングを巻いていましたから、手負いであることはしっかり伝わったはず。得意のスピアーでライバルたちをなぎ倒していましたが、視聴者は「勝ち上がるのは難しいのでは」と思ったことでしょう。チェンバー戦のような大人数の競争は手負いの人間がひとりいることで、奥行きが生まれます。大会のわずか数時間前にもこうした不安要素が派生するので、やはりWWEは見逃せません。

 さて、この日は通常とは異なり、アメリカでの放送時間と同タイミングでの生中継だったので、私はXのハッシュタグで世界中のWWEユニバースの興奮を共有しながら実況できました。メインイベント後の大乱闘に様々な言語で反応するポストを眺めて、改めてWWEの規模の大きさと出し惜しみしない本気を見たような思いです。

 では、最後に私のチェンバー戦の優勝予想についても書いておきます。ここ最近の活躍から考えれば、ドリュー・マッキンタイア本命は揺るがないでしょう。1月に世界ヘビー級王者セス・ロリンズに挑戦し、あと一歩まで追い詰めた経緯も再戦の材料になります。当初は『レッスルマニア』の主役と期待されたCMパンクを負傷に追い込んだ男が、その座まで奪い取るというストーリーは大いにあり得る話ですが、出場する6人のうち5 人がSMACKDOWN所属であり、年に一度の祭典でRAW所属同士の対戦とも考えにくく…やはり、予測が難しいと言わざるを得ません。史上初めて日本のゴールデンタイムで無料生中継される大会は、煽られた視聴者の一人として見届けたいと思います。

文/清野茂樹
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