ロシアの反体制派指導者、ナワリヌイ氏が刑務所内で死亡し、あらゆる憶測を呼んでいる。国際政治学者の舛添要一氏が、その背景を考察する。
【映像】収監されていたナワリヌイ氏の様子
ナワリヌイ氏は、政権の汚職や選挙不正を告発するブロガーとして知られ、大規模な反政府デモを繰り広げていたことから、プーチン政権から敵視されたとみられている。これまでも繰り返し拘束され、罰金刑や実刑を科せられていたとされる。2020年にはロシア国内を旅客機内で移動中に、突然意識を失い、病院に搬送されたことも。のちに旧ソビエトで開発された神経剤「ノビチョク」を盛られていたとわかった。そして2021年、療養先のドイツから帰国直後に、空港で拘束されて、刑務所に収監。2023年8月にはロシアの裁判所で、過激主義を扇動したなどとして、懲役19年の判決が出ていた。
舛添氏は、遺族に遺体を引き渡すことになったことから、「毒物が体に残っていれば、遺体は渡さない」として、殴るなど体内に証拠が残らない形で、ナワリヌイ氏が亡くなったと推測する。収監されていた刑務所は、モスクワから約1900キロ離れた、シベリアの北極圏に位置する。「そこにいるだけで体を壊すところ。非常に健康状態が悪かっただろうと想像できる」とした。また、ナワリヌイ氏は若者に人気があり、「まずいな」という意識はプーチン政権の中にあったと、舛添氏は分析する。
ナワリヌイ氏の妻ユリヤさんと娘ダーシャさんは、プーチン政権との対立姿勢を見せている。
「国に帰ると危ない。海外にいても、世界中に秘密警察が散らばっていて、何やられるかわからない。自動車事故に遭わせてみたり、ホテルの窓から突き落としたり、毒物を盛ったり、いくらでも手段はある。お友達のように近寄ってくる秘密警察がいるため、警戒しないとだめだ」(舛添要一氏)
舛添氏は以前から、プーチン氏について、自国民を大虐殺したスターリンを崇拝しており、ロシア帝国復興のためなら、反逆者の殺害は「朝飯前」と考えていると指摘していた。ロシアは今なお、プーチン氏の出身であるKGB(旧ソ連国家保安委員会)から続く「秘密警察国家」だと思っていいと語る。
「KGBが国家なりという感じ。あらゆる情報網がある。それを駆使して、いくらでもバレないように(暗殺を)やることができる。ナワリヌイ氏は飛行機でも毒を盛られていた。日常茶飯事だと思う」(舛添要一氏)
ロシア国内において、反プーチンの姿勢は「言ってもいいが、命の保証はない」。そして「あらゆる証拠をねつ造できる。例えば、経営者であれば脱税などの証拠は簡単に作り上げることができる。触らぬ神に祟りなしではないが、批判はほぼできない」と、舛添氏は語った。
(『ABEMA的ニュースショー』より)