【写真・画像】“乳がんで右胸を全摘”Qaijffボーカル・森彩乃(36)、傷痕を見て涙「平気なつもりでいたんだけど」 1枚目
右胸の全摘手術当日の森彩乃
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 乳がんと闘いながら、音楽で表現し続けるアーティスト『Qaijff』のピアノボーカル・森彩乃(36)。ABEMAエンタメは闘病しながら音楽活動を続ける決断をした森に密着。がんと向き合いながら新曲を作り上げる姿を追った。

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 『Qaijff』は、森と、メンバーでありパートナーのウチダアキヒコらとともに2012年、名古屋で結成。2016年から、名古屋グランパスの公式サポートソングを担当し続けている。2017年には、大手レーベルからメジャーデビュー。これまで、テレビ番組のテーマ楽曲やラジオ番組を数多く担当。現在は独立し活動している。そんなQaijffは、時にはフルオーケストラを入れてのパフォーマンスを行い、音楽性の高い楽曲をリスナーに届けてきた。

 2023年。ようやくコロナによる活動制限も緩和され本格的なライブ活動をはじめようとした矢先、森が体の異変に気づく。

森:(2023年)2月に筋トレを家でやっていて右腕を上げたり伸ばしたりしている時になんか右胸が突っ張る感じがあるなと思って。5年前くらいにも胸が痛くてちょっと腫れている感じがあった時に1度乳腺外科行ったことがあって、その時は「がんじゃない」となって乳腺炎みたいな。最初は先生が「あなた5年前にも1回来ていますね」「その時は違いましたよね」みたいな。「だからどうせ今回も違うんじゃない?」という雰囲気だったんです。見ていくうちに「これはちょっと気になるね」「怪しいね」って言って無言。ずっと無言でエコーをやっていたんで、もうその時本当に心臓が自分の鼓動の音が聞こえるドクンドクンって聞こえるぐらいドキドキしていましたね。

 検査の結果は、『乳がんステージ2』。右腋のリンパへの転移もわかり、およそ1年半の治療が必要と診断された。

森:ショック…衝撃はやっぱり大きくて。バンド活動どうなってくかな?って…バンド活動もだし自分の生活がどうなっていくんだろうなと考えましたね。信じたくないけどそうかもなって。最初に怪しいって言われた時点で、なんとなく自分は自分の体のことでわかっていたような気がするんだけど、私よりも母の方が「まさか違うでしょ」って思ってというか信じたかったというか。ウチダもそうですね…ショックを受けていた。

ウチダ:言葉に言い表せないような悲しみがありましたね。今までのバンド活動もネガティブなことがあるたびに、自分がポジティブに振る舞ってきたとは思うんですけど、さすがにがんってわかった時はそういうモードにもなれなくて、ただただ悲しいっていう気持ち。

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 乳がん発覚で、家族が悲しみに暮れる中、森はある選択を迫られる。

森:私の場合は半年間、術前化学療法で抗がん剤治療を受けて、半年後に手術します。私のガンの位置とか大きさ的に全摘になると思いますって、最初の時点で言われていました。もう治るため、命のためにはそれは仕方ない選択だよなと思ってすぐ受け入れたって感じです。胸を再建するか、そのまま傷跡にしておくかという選択も迫られるんですけど、現状私は再建もしないつもりで、むしろその傷跡が勲章じゃないけど頑張ったよな自分って思えるんじゃないかなってこの私の人生の中で、乳がんになって手術をしてそういう決断をしたという事実というか…。

 生きるため、右胸を全摘することを決断。さらに、アーティストとしても…

森:最初にその乳がんを公表した時に『音楽活動は続けます』と言って。

 治療に専念するために休むのではなく、音楽活動を続けることを決意。その言葉通り抗がん剤治療をしながらも、ライブパフォーマンスを行った。

森:治療と体調の様子を見て、何とかできるって決めてやったりもしたんですけど、音楽に向き合っているときの、自分のエネルギーというかその熱が病気に対してもきっと良い効果があったように思いますし単純に音楽の力に自分も救われているなって思います。

 カメラの前では、あまり弱音を吐かない森。しかし、その姿は、本人さえも無自覚の強がりだったことに気が付く。

11月30日。抗がん剤治療を終えた森は、右胸の全摘手術へ。

森:手術の当日です。昨日から病院に入院しているんですけど、きのうまでの日々は本当に不安で緊張して仕方がなかったんですけど、きのう担当医といろいろお話していく中で、今は自分生きているなっていう人生に対する喜びとか、あとはきょう切除する自分の右胸に対して、今までありがとうという気持ちが湧いてきたりしています。

 手術で、右胸と脇のリンパ節を取り除いた森。術後の体を見た時、自分でも気付いていなかった感情が溢れ出したという。

森:術後2日目にまだシャワー浴びられないので、自分でおしぼりで体をふかなきゃいけないんですけど、そのタイミングで見た時に最初から私は右胸を失うってこととか、全摘しなきゃいけないってこととかもうわかっていたし、結構平気なつもりでいたし、まあしょうがないというか。だけどやっぱり平気なつもりでいたけど、やっぱりショックだったのかなって後でわかったっていうか、すごい涙出てきちゃった。いろんな自分がいるなって思ったんですよね、そのときに。元気にしゃべっている自分も本当の自分だし。だけど少なからずなんかショックを受けている自分もいるのかなって。そのとき初めて思って…

 36年間、当たり前にあった体との別れをきっかけに、これまで自分が気丈に振る舞っていたことに気が付いた。

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 一方、闘病しながら続けていた音楽活動ではうれしい報告が。これまでに引き続き、名古屋グランパス 2024シーズンオフィシャルサポートソングを担当することが決定。

森:9年連続で担当させてもらえるなんて純粋に嬉しかったですね。

 がんの治療を進めながら新曲作りに励むことに。

森:今までよりは相当ギリギリです。治療とかもあって過去イチギリギリです。たぶん…『誇れ』というタイトルで考えています。自分を誇れじゃないけど、1人1人が誇れる自分で日々過ごせるように。自分が病気になったこともそこには影響していて、病気になる前も自分は自分だし、なったあとも自分は自分だし、それを誇って私は生きたいって気持ちが強くて。

 新曲では、名古屋グランパスの応援と、病気になった自身の経験を織り交ぜた歌詞を考えているという。

森:これはまだ入れたい言葉とか言いたいこととかをガーッと書いてまとまってない状態ですね。

 2週間後。完成した歌詞は…

森:(歌詞に)傷っていう言葉が出てくるんですけど、1番のサビでも出てくるし2番のサビでも出てくるんですけど、私は手術を受けてここに傷が今あるわけなんで、でも自分の思いとしてはこの体に傷は作ったけど、それはその悲しむべきことじゃないっていうか誇り。それこそ誇り、勲章だなって思っていて入れましたね。

 この1年の経験から紡ぎ出した新曲『誇れ』。これまでの思いを乗せて、森がレコーディングで魂を吹き込む。

森: 生きてればいろんなことがあるじゃないですか。今そんなに病気とか事故とか、自分だったりその身近な人に悲しい出来事がもしかしたらないっていう人も中にはいるかもしれないけど、この先起こるかもしれないし、でもそれを超えてきた人もいるだろうし。でもやっぱどんな時でも自分の人生を誇って生きることが大事だなって思うんで誇ってほしいなって。誇って思ってほしいなと思いますね。

 がん発覚からおよそ1年。手術後の抗がん剤治療と放射線治療を受け続ける中、それでも表現することをやめないとした決断について今思うことは…

森:いや、間違いじゃなかったと思いますね。やっぱりこうやって曲作ったりレコーディングしたり、イベントで歌えるっていうこともあったりして、夢中になれている時間っていうのが音楽に、やっぱり自分にとってすごく大事だし。その時間がもしなくなって治療に集中していたら、体とかいろんなそういう楽な面もあるかもしれないんですけど、メンタル的にそっちの方がしんどくなっていた気がするんで、音楽は続けて休まずにやるって決めてよかったですね。今生きていて、好きな音楽を続けられて、好きな人たちと一緒に過ごせているからむっちゃ幸せです。めっちゃ幸せです。

(『ABEMA NEWS』より)

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