【写真・画像】プロレスなのに「マイクだけで18分」の衝撃 ドウェイン・ジョンソンが象徴するWWEの妙技 喋りのプロが“ロック劇場”に見た超一流 【清野茂樹アナ連載#6】 1枚目
【映像】ド派手“ヒール衣装”でロック様入場の超希少シーン
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 昨年10月、SNSの総フォロワー数が世界で10億人を超えるアメリカが誇る世界最高峰のスポーツエンターテイメントであるWWEのメイン大会『RAW』と『SMACKDOWN』の放送が日本で開始された。さらに1月27日(日本時間28日)に行われた『ロイヤルランブル』以降は、放送席の容を一新。自他ともに認める“WWEウォッチャー”の清野茂樹アナウンサーらが加わった。そんな清野アナが、自らの実況回ごとにWWEの魅力や楽しみ方を振り返る連載コラム。第6回目のキーワードは「ザ・ロックと超一流」。

【映像】ド派手“ヒール衣装”でロック様入場の超希少シーン

 WWE史上最高のカリスマが場内を釘付けにした18分のマイクに、清野アナが同じ喋りのプロとして感じた“超一流”とは。

ザ・ロックが示した超一流の“妙技”

 WWEではマイクパフォーマンスが大きな比重を占めます。スーパースターたちはマイクを握って自分の考えを訴えて、観客の支持を集めることが求められるわけですが、その技量で断トツなのが、ザ・ロックです。

 ザ・ロックと言えば、約20年前のWWEブームを作った立役者の一人であり、その後はドウェイン・ジョンソンの名で俳優業にも進出しているので、プロレスファンでなくても知っている人は多いでしょう。リング上では「ロック様の妙技を味わえ!」などお決まりの台詞をいくつも持っていることをはじめ、強弱をつけて声のトーンを変えながらのしゃべりは英語を理解できなくても、達者であることがすぐにわかります。

 今年に入ってWWEの親会社の取締役にも就任したロックは、RAWやSMACKDOWNにしばしば登場。絶大な知名度と人気は今も健在で、来たる『レッスルマニア』でローマン・レインズとの対戦がファンから拒絶されたものの、すぐさまヒールに転向する嗅覚もさすがとしか言いようがありません。

 そんな超大物のマイクパフォーマンス力が存分に発揮されたのが、前回のSMACKDOWNでした。番組の冒頭でローマン・レインズ率いる悪の軍団・ブラッドラインとともにリングに上がったロックは、ブーイングを飛ばす観客を罵倒した上で、敵対するコーディ・ローデスに対して条件を出しました。2日間にわたって開催される『レッスルマニア』の初日では前哨戦のタッグマッチを提案し、勝てたらローマン・レインズと介入なしで対戦することを認めてやるが、負けたら何でもありのブラッドラインルールで対戦だと言い放ったのです。

 この一連のスピーチが約18分。まったく淀みなく、要所要所で沈黙も作りながらしゃべる“ロック劇場”に釘付けになった視聴者は多いでしょう。コンプラ違反スレスレの下品な言葉も混ぜながら、緩急自在にこれほどの大演説ができるレスラーは、世界中どこを探しても彼以外には見当たりません。また、隣に立ち、少ない言葉でじっくりと語るローマン・レインズも素晴らしく、その様子を見つめるポール・ヘイマン、ソロ・シコア、ジミー・ウーソは表情で彼らを引き立てていました。まさしくチームプレイ。あれほどのパフォーマンスを一発勝負の生放送でやってのけるブラッドラインは超一流だと改めて証明した時間でした。

 ロックからコーディ・ローデスへの提案は、自分に有利な条件を一方的に突きつけたように聞こえますが、よくよく考えると、2日間にわたって開催される『レッスルマニア』の期待を膨らませるものです。初日の結果がどちらに転んでも面白くなりそうな妙案と言うべきでしょうか。あらかじめロックの来場が予告された、この日のアリゾナ州グレンデール大会のチケットは完売。どんなに罵られようとも、多くのファンはロックの姿が見たいのです。

“18分の沈黙”後に与えられた30秒

 さて、ロックが発言する最中、私はスタジオで食い入るようにモニター画面を見つめ、日本語字幕を読んでいました。ディレクターからは「マイクの後から次の場面まで30秒ほどあります」と伝えられますから、18分間のどこを切り取ってコメントすべきかを考えます。いわゆる「受けのコメント」というやつです。

 発言の内容を要約して伝えるべきか。多くの視聴者が感じたであろう感想をなぞるべきか。いやいや、振り返るよりも未来に繋がる話をするべきか…正解はありませんが、ロックの言葉を借りれば、マイクパフォーマンスの直後はストーリーテラーにとっても「妙技」の見せどころと言えます。それにしても、強烈な先手を打たれたコーディ・ローデスはどう返答するのか? 試合だけではなく、言葉の力も勝負を左右するのがスポーツエンタテインメント。次回はコーディのマイクパフォーマンスから目が離せなくなりました。

文/清野茂樹
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