漫画家・鳥山明さんの訃報に、日本のみならず世界中で追悼の声が広がっている。
【映像】尾田栄一郎氏の追悼コメント(文面)
3月1日、急性硬膜下血腫により68歳の若さで亡くなった鳥山明さん。80年代から90年代にかけて「Dr.スランプ」「DRAGON BALL」を連載し、単行本は大ヒット。連載していた週刊少年ジャンプは発行部数が600万部を超え、空前の黄金期を迎えた。
林官房長官は8日午後の会見で哀悼の意を示すとともに「個人的には『Dr.スランプ』が思い出深い作品」と振り返り、「アラレちゃんというキャラクターがいた。当時、学生時代でございましたが『アラレファッション』という、帽子をかぶってオーバーオールを着てといったファッションが一部ではやっていた」と述べた。
アラレちゃんの「んちゃ」や「バイちゃ」などのセリフは当時流行語にもなった。また、ドラゴンボールの必殺技かめはめ波は、世界中で真似されてきた。『ドラゴンボール』の単行本は80以上の国や地域で発行され、その数は累計2億6000万部にのぼり、そのうちの1億部が海外だ。日本に次ぐ世界第二位の漫画市場を誇るフランスでは特にファンが多く、2019年にはフランスから芸術文化勲章を授与。鳥山明氏の訃報にフランス大使館は、X(旧ツイッター)に、追悼コメントを寄せている。
「鳥山明氏の訃報に接し、フランス大使館は悲しみを深くしています。漫画の最高峰に到達した人物であり、鳥山氏の創造性にあふれた作風、物語の展開の妙、そして比類なきデザインの芸術により、フランスにおける第九芸術の普及に大きく貢献しました」(フランス大使館Xより)
デビュー後も地元・愛知での執筆にこだわり、売れっ子になってからも離れることはなかった鳥山さん。元々、メディア出演は極端に少なく、著者近影も直筆イラストを使うことで有名だ。そんな中、愛知県清須市立図書館の「図書館だより2018年12月号」に久々のインタビュー記事が掲載。
「連載マンガが終了してかなりになるのに、今でも楽しんでくれている子供たちがいる、というのは本当に幸せです。ありがとう。時々自分でも何がそんなに受けるんだろう、と不思議な気持ちになります」(図書館だより2018年12月号より)
生前、親交があったという『ONE PIECE』の作者・尾田栄一郎さんは「漫画なんて読むとバカになるという時代からバトンを受け取り、大人も子供も漫画を読んで楽しむという時代を作った一人でもあり、漫画ってこんな事もできるんだ、世界に行けるんだ、という夢を見せてくれました。突き進むヒーローを見ているようでした」と追悼コメントを発表している。
国際情勢に詳しいテレビ朝日の中丸徹デスクは、今回の訃報について「フランスのマクロン大統領ご自身が、X(旧ツイッター)に“マクロン大統領へ”と描かれた鳥山明さんによる色紙とともに日本語で呼びかけるほど反響があった」と説明した。さらに、ヨーロッパ・アメリカ・アジアなど各国で取材を行った際に「皆さん涙ぐんで、自分の子ども時代にいかにドラゴンボールやアラレちゃんがあったのか、切々と喋ってくれて、本当に世界中でインパクトを残されたのだと感じた」と述べた。
(『ABEMA的ニュースショー』より)