連日報道されているアメリカ大統領選挙の候補者選び。日本人から見ると浮かんでくる「素朴な疑問」について、テレビ朝日外報部の中丸徹デスクが、ざっくり解説した。
【映像】どっちの方が権力ある?大統領と首相の違い
そもそも「大統領」とは何か。中丸デスクによると「王様の代わり」だという。
「王様に文句があっても変えられない。『そういうのやめようよ』と、王様を倒した革命後のリーダーとして生まれた。王様から任命されているのが『首相』で、国民が選んでいるのが『大統領』。権限は大統領が強く、大統領令は法律に匹敵して、議会が決めたことを拒否する権限もある」(以下、中丸徹デスク)
今年は4年に1度のアメリカ大統領選がある。本選挙は11月5日に行われるが、すでに1月から予備選が始まっている。バイデン大統領がいる民主党、トランプ前大統領がいる共和党、それぞれで代表を選び、夏の党大会で1本化して本選挙に挑むのだが、すでに共和党の候補はトランプ氏に決まりそうになっているという。
「スーパーチューズデーがあった。たくさんの選挙が集まる火曜日で、普段はそこで勝った候補が注目を集めるが、今年は(トランプ氏が)独走すぎて、ほぼ確実と言える状況になった」
ルール上は、候補者の代理人となる「選挙人」が州ごとにいて、その人へ投票する。50州のうち48州は「総取り方式」で、1票でも多く得た候補者が、その州の選挙人を全員獲得できる。選挙人に選ばれるのは「地元の名士や知識人、田舎のおっちゃん」が多いそうだ。
「テキサス州全員の気持ちを代表して、30人くらいでワシントンに行くとか、党大会に行くとか。党大会を取材したことがあるが、なんか楽しそう。『田舎の代表で俺たち来たぞ』みたいな。旅行じゃないが、お祭りに参加する感じ。お金ではなく、名誉でやっている」
では、どうして火曜日なのか。その背景には、農業に従事するキリスト教徒が、アメリカに多かったことが挙げられる。日曜日は教会へ行き、月曜日に馬車で投票所へ向かうため、「どうしても1日仕事になる。投票所のある街で泊まって、やっと火曜日に投票する」と説明した。
続いて「トランプ氏は、なぜ口があんなに悪いの?」という疑問。これまで金正恩総書記へ「チビのロケットマンは不気味な犬ころ」、Fox Newsの女性キャスターへ「能無しバカ女」、バイデン氏に「バイデンは認知症」などとコメントしてきたが、これらを中丸デスクは「誰かの不満を代弁しているから」ではないかと分析する。
「人間それぞれ、人に言えない不満がある。モヤモヤした気持ちを、スカッと言ってくれる。正しいこと言おう、お行儀よくしようという『ポリティカル・コレクトネス』で、息苦しい世の中だと不満を持つ時に現れたのがトランプ氏だった」
トランプ氏は、日本でいう「マネーの虎」のような、ビジネス系リアリティー番組のMCを務めたことで、大統領になるまでの知名度を高めた。「(志願者のプレゼンに)バッサバッサと『お前はいいビジネスマンだ』『お前はクビだ』とやった。みのもんたさん的な『ズバッと感』があった」という。
今回の大統領選をめぐっては、著名人の言動も話題になっている。実業家のイーロン・マスク氏はトランプ氏と会談したり、両陣営に献金しないと表明したりがニュースになった。歌姫・テイラー・スウィフト氏も、スーパーチューズデーの投票を呼びかけるコメントで注目されている。スウィフト氏は2020年の大統領選でバイデン支持を表明していて、トランプ氏は今年2月、スウィフト氏のバイデン支持に「ありえない」とけん制していた。
「アメリカは何かを言うのが美徳。逆に言うと、自分の意見を隠す人はダメ。小学校の頃からディベートして、『私はAだ』『私はBだ』とやり合うので、著名人も自分の意見を表明する文化がある。(著名人は)フォロワーへの影響力が大きく、票が付いてくる。トランプ氏とバイデン氏の違いより『自分はテイラーが好き』という人は多い」
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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