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 シリーズ累計発行部数1,000万部を超えたトロルの大ヒット児童書を原作にしたアニメーション劇場版長編第2弾『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』(3月20日公開)。おしりたんていのかつての元相棒スイセンの声を演じるのが、俳優の仲里依紗だ。

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「子どもの思い出の一部になる様な作品に参加できたのが嬉しい」

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 仲にとって『おしりたんてい』は、息子が幼かった頃に夫婦揃って読み聞かせをしていた思い出の絵本。それだけに「子どもに『ママ、これに出るんだよ』と伝えたら『えー!ヤバい!』と大興奮。子ども時代に思い入れを持って見たアニメは必ず記憶に残るものなので、そんな子どもの思い出の一部になる様な作品に参加できたのが嬉しい」と喜びもひとしおだ。

 とある事件をきっかけに、おしりたんていの前から忽然と姿を消したスイセン。それから10年後、おしりたんていの前に再び現れたスイセンは性格もビジュアルもクールに激変していた。

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「10年後のスイセンは相棒時代に比べて180度キャラクターが変わってしまいます。普段の演技ならばその変化をビジュアルで表すことで気持ちも自然と入って来ますが、声優業の場合はピュアな過去とクールな現在を声だけで演じ分けなければいけないのでテクニックが必要でした」

 さっぱりした印象のある仲ゆえに「クールなスイセンは等身大でいけるかな?」と余裕の表情だが、「難しかったのは過去の可愛らしいスイセン。自分の中で思い切り可愛く声を出したつもりでも、監督から『もう少し可愛くできますか?』と言われたりして(笑)。過去のスイセンは自分的にはかなりオーバーに声を出して演じたつもりです」と熱演を報告する。

俳優業にYouTubeに子育て…ハードな毎日を支えてくれる夫

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 10年で激変したスイセンのごとく、仲自身もこの10年での自らの変化を実感している。SNSを通じてありのままの自分を発信するようになったことが大きい。

「一昔前だと女優はイメージが大切で、そのイメージ通りにしなければいけないような圧がありました。でも今は自分の好きなものを好きだと言っていい、生きやすい時代に変わってきています。私が私らしくいられている今の姿を誰かが見て、背中を押せるような立場になればいいなとも…と綺麗ごとを言いながら、単に私は自由人間なだけ。ただただ自由に好きなことをやっているだけです」

 ちなみに変化したのはビジュアルだけで、内面は変わらず内向的らしい。

「派手な見た目ですが、相変わらず人見知りで初めての人と喋るときは緊張します。性格診断テストをしたら“内向的”という結果が出たのでファンの人たちに報告したら“絶対ウソ!”と言われたけれど…。でも私の凄く仲のいい人たちは“性格は変わっていない”と理解を示してくれます。この外見で判断されがちですが、皆さんが見ている明るい私は目の錯覚、トリックアートです」

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 私生活では昨年、結婚10周年を迎えた。「旦那も私のことを“ずいぶん変わったなあ”と思っているはず」と笑いながらも、「旦那からは今も変わらずまめに連絡が着ます。でもそのほとんどが、自分で聞いてきて自分でツッコんで一人で解決できるようなことばかり。私が返信する前に“やっぱ大丈夫だった!”みたいになるので“変わってないな”と思います」と変わらず仲が良い。

 俳優業にYouTubeに子育てにと多忙な日々を送る仲の日常はとてもハードだ。「分刻みでスケジュールを組んでいるのでボーッとする時間はゼロ。晴れていると“何かをせねば!”という葛藤に駆られるので、雨になると“何もしなくていいや”となるのでホッとする。ダラダラできるので雨降らないかな~と思ったりします。毎日ギリギリです」と説明する。

 しかし、限界を迎えそうなときは必ず夫が手を差し伸べてくれるという。

「忙しすぎてキレる寸前になると察してくれて“マッサージでも行ってくれば?”と気遣ってくれる。それがとてもありがたいです。体の調子が悪いと心にも出てきてパフォーマンスが下がってしまうので、メンテナンスはとても大事」

「学校をサボるのに成績良くて宿題もきちんとやってくる不良が理想」

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 今年芸能生活20周年。モチベーションはSNSから聞こえるファンたちの声だという。

「私は褒められて伸びるタイプなので、SNSの皆の応援の声や感想コメントに元気をもらっています。みんなのコメントは自分の中でのモチベーションのパーセンテージのかなりの割合を占めています。コメントがないと不安になるので、コメント欄も閉鎖せず開放していて、みんなからのDMも見られるようにしています」

 とはいえ顔の見えない匿名の集団。心ない言葉で傷つけられることはないのだろうか?

「私はああいえばこう言うタイプなので、否定的なコメントはあまり来ません。私に言っても言い返されると思われているのかも…。もし否定的な書き込みがあったとしても『あら、ごめんね~!』みたいな感じで面白おかしく思っちゃいます」

 メンタルの強さに加えて、仲の意志を貫く強さに惹かれて同好の士たちが集まって来る。「ファッションだったり、メイクだったり、自分の好きなものを好きだと堂々と言い続けていると『実は私も好き!』という人たちが集まって来て仲間意識が生まれて、どんどん味方になってくれる。仕事柄、派手なメイクや衣装が出来ないという人もいるけれど、私は『なんで?やればいいじゃん!』と言ってしまう。俳優仲間にもそういう人たちは多くて、事務所がヒヤヒヤしています。『仲には近づくな!髪の毛がピンクになるぞ!』と」と笑う。

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 本作『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』をはじめ、話題のTBS金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』、今年10月放送スタート予定のNHK連続テレビ小説『おむすび』と2024年も多忙を極めるが、仲は俳優としての評価があるからこそ、自由を謳歌できると話す。「自分の好きなことを自由にやるためには、本業である俳優としての評価をしっかりともらうのは大前提です。本業をおざなりにして好き勝手やるのでは誰も認めてくれない。学校をサボるのに成績良くて宿題もきちんとやってくる不良が理想(笑)。でも自由にやるということは、そういうことだと思うんです」と芸能界の真面目な不良を目指している。

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取材・文:石井隼人
写真:You Ishii

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