急騰している仮想通貨のビットコイン。1BTC=6万9000ドル(日本円で1000万円)を超え、史上最高値を更新した。1月に米国証券取引委員会(SEC)がビットコインと連動するETF(上場投資信託)を承認したことで資金流入への期待感が高まり、投資を後押ししたことが要因とみられている。
これまで実体がないなど、多くの金融機関が敬遠してきた仮想通貨による決済。しかし、アメリカの決済大手マスターカードは仮想通貨と交換できる報酬プログラムの提供を発表するなど、より身近に。さらに、アメリカの市場アナリストは「いずれ国の中央銀行も参入し、高値は続く」と予測している。
ビットコイン高騰は本物なのか。そしてこの流れはどこまで続くのか。『ABEMA Prime』で専門家に聞いた。
■ビットコイン急騰の背景は 「半減期」も影響?
ビットフライヤー執行役員の金光碧氏は、高騰の理由を次のように話す。「1つ目はやはりETF。これまで上場をSECにトライしては却下されてきた歴史があるが、承認されたことで金融資産の仲間入りをしたとみられている。大手の資産運用会社や、他人勘定で資産を運用する人たちが、ビットコインをポートフォリオの1つとして選択するのではという考えがある。もう1つ、アメリカも個人投資家がすごくリスクオンになっている」。
もう1つ考えられるのが「半減期」だという。「ビットコインは2009年10月から走り始めているが、10分に1回50BTCずつ発行されるのが最初の仕組みだった。その数量が半減していき、2012年に25BTC、2016年に12.5BTC、2020年に6.25BTC、2024年には3.125BTCになる。ビットコインは取引が貯まるとブロックにデータを格納して鎖につないでいき、その報酬として新しく発行されたものがマイナーに渡される。供給量が減るため価格が上がる」と説明。
一方で、「中国ですごくビットコインが流行っていたが、政府がビットコイン投資を禁止したというニュースが出たり、取引所の事故があったりするとすごく下がる」と、情勢に影響を受けやすいものだとした。
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「レンディング(貸し付け)が普及してきたのがけっこう大きいと思っている。仮想通貨を持っている人は今でも換金が大変。(差益が出ると)総合課税で約50%取られてしまうこともあり、持ちっぱなしの人が多かった。最近は仮想通貨を預けると利子が5%もらえるところがざらになり、現金に替えなくてもいいよねと。買うファンドは増えるが、売る人がどんどん減っているということで、価格が上がり続けていると思う」との見方を示す。
これに金光氏は「レンディングによって売らなくてもいいという選択肢は増えていると思う。また、仮想通貨を預けるとマイニングに相当してもらえるというステーキングも一般的になってきている」と補足した。
■ビットコイン、仮想通貨の今後は
主に円・ドルなど法定通貨と紐付けることで価値を担保する、価値が大きく変動しない設計された仮想通貨が「ステーブルコイン」。その可能性について金光氏は「ステーブルコインは基本的に裏側でドル相当のものが裏付け資産として存在していて、1ドル=1USDT(テザー)にペッグされているようなイメージ。例えばビットコインを売ってUSテザーにし、これを取引所に送って別の仮想通貨を買っても、その間の価格のぶれはないので非常に安全だ。オンチェーン上で送金したりトレードしたりする時の媒体通貨としてのニーズがすごく強い」と話す。
ひろゆき氏は「ステーブルコインも置いておくと利子がついたりする。下手に外貨預金をするより、ステーブルコインで利子を付けたほうが、税金を取られなくて貯まる、得をするという考えもある」と説明した。
暗号資産・仮想通貨の今後をどう見ているか。金光氏は「ビットコインはまだボラティリティが高く、将来的に安定してある程度認められた金融資産になれば上がっていくと思う。性能としてはあまりよくないが、一番古い暗号資産で、最も分散され、変わっていないという意味で唯一無二の存在だ。期待しているのは、イーサリアムをベースにゲームができたり、いろいろなコミュニティができたり、投機ではない使い方だ。ユースケースがどんどん生まれつつあるので、そういった方向で発展していくといいなと思っている」と述べる。
ひろゆき氏は「最近『Wizardry』というゲームが日本でリリースされたことはほとんどの人が知らないし、僕はSTEPNをいまだにやっている。オンラインカジノでは仮想通貨がかなり使われていて、クレカ決済が面倒くさい、銀行口座を持ってないという人が遊んでいる。仮想通貨を使ったゲームなどが世界中で作りやすくなっているが、そっちの話題は日本からあまり見えていない。結局“ビットコインは投機だよね”と言われてしまう」とした。(『ABEMA Prime』より)
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