3月14日(木)、明日開催されるABEMAオリジナル格闘ドキュメンタリー番組「格闘代理戦争-THE MAX-」一回戦の前日計量&組み合わせ抽選会が行われた。「X」となっていた2枠にはUFCファイターの鶴屋怜&諸石一砂、一般応募のパンクラス現役ランカー田嶋椋&松岡拓が入り、格闘技界の次世代スターへの道と優勝賞金300万円をかけたトーナメントがいよいよ開幕する。
決戦を前にした抽選会で青木真也は一人だけ明らかに浮いていた。抽選会後の囲み取材で、監督としての意気込みを聞かれると「これは競技じゃなくて番組ですから。それを忘れずに頑張りましょう」と挨拶。
各監督が一回戦突破への意気込みと推薦選手への期待を語る中、青木は自分の推薦選手・中谷優我を「番組内でも言ったように彼は(格闘技に)向いていない。その気持ちは全く変わってないです。(勝たせる)自信もないし、実力もない。そこで彼が殻を破って勝ち上がっていくことに物語があるんじゃないですか。彼は何もない。だから負け確定です」と突き放した。
「一回戦でどのチームに脱落してほしいか?」という質問にも「ノーコメント」。その後の質疑応答は事実上の青木抜き状態で進んだ。囲み後のフォトセッションが終わり、すぐに会見場を去ろうとした青木を呼び止めて話を聞いた。
「最初に言った通り、これ(格闘技代理戦争)は競技じゃないから。ABEMAの(格闘技ドキュメンタリー)番組でしょ? それで『頑張ります』とか『勝ちたいです』とか試合の意気込みを普通にしゃべるだけだったら、仕事になってない。そりゃ俺が浮くよ(苦笑)」
このトーナメントがプロでの活躍を目指す選手とそれを指導するトレーナーたちによる試合であれば、競技的な発言や試合への意気込みを語っても間違いではないだろう。
しかしこれは格闘技代理戦争という独自のフォーマットであり、ただ勝ち負けを争うだけの試合ではない。だからこそ出場選手のキャリアからすれば破格の優勝賞金とスターへのチャンスがかけられているのだ。過去に格闘代理戦争の監督を経験している青木だからこそ、格闘代理戦争が競技になってしまっていることに違和感があったのだろう。
中谷に「負け確定」の烙印を押したことも自分が悪目立ちするためではない。
「自分の推薦選手がどんな選手かを紹介することも監督の仕事。俺はアイツ(中谷)がどんな選手かを知っているから『格闘技に向いてない』『実力がない』ことを視聴者に伝えた。その上でアイツがどんな試合をして、どんな結果を残して、何を見せるのか。それが格闘代理戦争でしょう」
「負け確定」という一言は青木真也の格闘代理戦争への愛と中谷への叱咤激励が込められた言葉だ。青木真也と中谷優我は参加8チームの中で誰よりも格闘代理戦争に向き合い、その戦いに挑む。