「第96回アカデミー賞授賞式」でのある行為が「アジア人を軽視している」と物議を醸している。助演男優賞を獲得したロバート・ダウニー・Jr.が登壇した際、プレゼンターで去年の受賞者のキー・ホイ・クァンがオスカー像を渡そうとしたが、受け取る時に無視したようにも見えるのだ。その後の舞台裏では、2人が握手を交わす姿もあったのだが、Xには「無意識なんだろうな。差別が当たり前すぎて」「無礼にも見えるけど、これだけで差別と言える?」などさまざまな声が。
また、主演女優賞を受賞したエマ・ストーンが、プレゼンターのミシェル・ヨーを無視したようにも見え、同様の声があがった。その後、ミシェル・ヨー自身が、隣にいたジェニファー・ローレンスとともにエマ・ストーンを祝福するため誘導したのが混乱を生んでしまった、と発信した。
近年は多様性への配慮が選考基準に盛り込まれたアカデミー賞。13日の『ABEMA Prime』では、ブラジル生まれ静岡育ちで歌手・モデルの當間ローズと、ロシア生まれ兵庫育ちでコラムニストの小原ブラス氏が自身の経験を踏まえ語った。
當間は米アカデミー賞授賞式を毎年見ているといい、騒動について「ロバートさんは元々“人格がちょっと冷たい”と言われているので、対応に驚きはなかった。ハリウッドで差別があると言われるが、それはたぶん世界中の芸能界でも起こっていること。日本でもある。俳優を目指して芸能界に入った時は、オーディションで“あなたは顔が濃すぎるから駄目”と言われた。それはある意味しょうがないのかなと自分の中で解釈したり、受ける側の免疫もないといけないのかなとも思う」と述べる。
思い込みや偏見によって無自覚に相手を傷つけることを「マイクロアグレッション(小さな攻撃)」という。その中には、外国人や海外ルーツの日本人に対する「日本語ペラペラですね」「日本人より日本人らしい」なども含まれる。
當間は「“日本語ペラペラ”はしょっちゅう言われるけど、誰に対して、どういう意図で言っているのかが重要。ブラジルは本当に人種が多様なので、“どこの出身なの?”“素敵な髪だね。アフリカ系入っているの?”と日常的に聞く。それは、相手を知りたいという興味からだ。傷つけようとするような真心がこもってない言葉は、相手もそういうふうに感じてしまうのだろう」と述べる。
そんな中で子どもや同じような境遇の人に言うのは「自尊心とポジティビティを持つこと」だという。「“みんながあなたに言っていることは、その後、必ずあなたの武器になる”と。例えば、日本人であることでハリウッドの役をもらえなかったかもしれないけど、日本人だからこそできる役もある。(マイクロアグレッションを受け止める)コップを大きくして、そういうことがあっても耐えられる心を作っていくべきなのではないか」と投げかける。
小原氏は「昔、『外国人が見るニッポン』というコラムを書いたことがある。外国人が住んでいる寮などに行って、“日本はどう見えている?”と聞くと、日本の人に話す時はベタ褒め。しかし、僕が行くと仲間意識があるのか、良いことだけでなく“これはつらい”という話も出てくる。こういうのを“お笑い”みたいにして、知ってもらうしかないのかなと思う。それを発信する人が常にメディアにいて、アメリカならハリウッドに正しい人物像がいるとか。そういうことが最終的には一番大事になってくるのではないか」との考えを示した。(『ABEMA Prime』より)
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