◆YouTubeは毎日利用が約4割。TikTokはヘビーユーザーと非利用者に二極化

 各媒体の利用頻度で「ほぼ毎日」利用する人の割合はYouTubeで約4割となっている一方で、YouTubeショートとTikTokはともに「ほぼ毎日」視聴が全体のうち約1/4に限られていることがわかった。それに対して「全く利用していない」人の割合は、YouTube、YouTubeショート、TikTokの順に大きくなり、TikTokでは約60%の回答者が非利用者という結果になった。TikTokは他の媒体と比べ、毎日利用している人と、全く利用していない人との二極化が進んでいる。

 各媒体で「全く利用していない」以外の割合を合計し、回答者内での利用率を求めると、YouTubeが約81%、YouTubeショートが約63%、TikTokが約41%となった。

※本文内では、ショート動画を含まないYouTubeの通常動画を「YouTube」と記載

 1日あたりの平均利用時間は、全体的にどの媒体も時間が長くなるにつれて回答者の割合は低くなる傾向にあるが、YouTubeショートのみ「1分~30分未満」単体で50%を超えているのが特徴的だ。YouTubeショートは1本の動画が短いことに加え、YouTubeの通常動画の合間につまみ食い的に視聴する人が多く、ショートだけ何時間も見続ける人は少ないのかもしれない。

 一方、TikTokを「3時間~4時間未満」利用すると答えた人の割合は約10%で、YouTubeの約2倍、YouTubeショートの約4倍だった。また、3時間以上利用する人をヘビーユーザーと定義して集計したところ、TikTokは20%弱と3媒体の中で最も高くなっており、TikTokのヘビー利用が目立つ。


◆「ゲーム実況」はYouTubeに集中、「ペット・動物系」「料理系」は媒体関係なく人気

 ユーザーが各媒体で見ている動画のジャンルを回答者割合が高い順にランキング化し、上位15位までをまとめたのが以下の画像。

 YouTubeではBGM・ながら見の需要からか、「MV/音楽系」「ゲーム実況」が20%を超えてトップとなっている。じっくり視聴したい需要が予想される「専門知識・経験談系」は、YouTubeショート(16位)やTikTok(19位)より高い。

 3媒体で共通しているのは、上位に「ペット・動物系」「料理系」がランクインしていること。特にTikTokでは、両者がそれぞれ1位、2位を占めている。これらは動画の長さに関わらず、人気のコンテンツのようだ。

 一方で、3媒体で大きな違いが見られたのは「ゲーム実況」だった。「ゲーム実況」はYouTubeで約20%(2位)であるのに対し、YouTubeショートでは約10%(7位)、TikTokでは約8%(15位)となっている。YouTubeでは作業中BGMとしてフル動画を流しっぱなしにしておきたいという心理に加え、ゲーム作品や実況そのものを楽しむためにフル動画をしっかり見たいというニーズも高いのだろう。

 ゲーム実況というと、切り抜き系のショート動画も多い。YouTubeショートでは3位にランクインしている「切り抜き系」だが、「切り抜き動画を見て気になったので、フル動画を見に行く」といった動きはどれくらい起こっているのか。

 「YouTubeショートの切り抜き動画から、その動画のフルバージョンを見に行く」「YouTubeショートで認知したクリエイターの、通常のYouTube 動画(ショートではないもの)を見に行く」について、YouTubeからYouTubeショートへの遷移は、いずれも「よくある」「たまにある」の合計が約半数となっており、遷移派と遷移しない派でほぼ半々になっている。

 一方、「YouTubeで認知したクリエイターの動画を、TikTokに見に行く」の「よくある」「たまにある」の合計は約40%。YouTube内での遷移よりはやや低くなっている。ただ、アプリを飛び越えて遷移する手間を考えると、イメージよりも高い数値かもしれない。


◆タイパ重視で「コメント見ながら視聴」「スキップ視聴」か

 各媒体の利用スタイルとして、YouTubeでは「検索して動画を探す」「いつも見ている、もしくは知っているクリエイターの動画を見る」「チャンネル登録(フォロー)をする」がそれぞれ25%超と、ほぼ同率でトップ3となっている。

 一方、YouTubeショートでは「チャンネル登録(フォロー)をする」は10%弱と、ショート動画では登録が起きにくいようだ。流れるように様々なクリエイターのショート動画を視聴する中では、その動画自体を楽しむことはあっても、チャンネル登録するまでのモチベーションには至りにくいのかもしれない。

 YouTube・YouTubeショート・TikTokのいずれも、コメントの閲覧に関しては、「コメント欄を見ながら動画を見る」の方が「動画を見終わった後にコメント欄を見る」よりも高くなっている。特に、YouTubeでは「コメント欄を見ながら動画を見る」が約17%となっており、「動画を見ているだけでは手持無沙汰に感じる」というタイパ意識層や、「とりあえず音をつけた状態で、世の中の意見が知りたい」という層が、動画とコメント欄を同時に楽しんでいる様子。動画自体を楽しむだけでなく、同じ動画を見ているユーザーどうしで共感や意見し合う様子を見て楽しむ人も一定数いるようだ。

 タイパといえば、YouTubeでは「途中飛ばしながら動画を見る」が約17%で7位、「倍速再生をする」が約10%で9位にランクインした。さらに、「途中飛ばしながら動画を見る」はYouTubeショートでも10%で6位、TikTokは約14%で6位と、短尺の動画でも飛ばしながらの視聴は割と高い割合で起こっている。


◆使い分けは?YouTubeは「学び」、TikTokは「トレンド」がキーワード

 YouTube・YouTubeショート・TikTokの全ての媒体を「利用あり」と答えた回答者に対して、使い分けのイメージを探った。YouTubeショートとTikTokでは、「スキマ時間に見れる」がともに1位に。TikTokでは50%超が「スキマ時間に見れる」と回答しており、ちょっとした空き時間に手軽に楽しめるエンターテインメントとして認識されている。「手持無沙汰なときや、スマホを触っている時にまず開く」もYouTubeショートとTikTokでともに3位と、上位にランクインしている。

 一方で、YouTubeでは「スキマ時間に見れる」は13位となっており、代わりに「心の余裕がある時に見る」が約半数で1位となっている。長尺の動画を楽しむためにはまとまった時間と集中力が必要なため、状況やモードによって短尺動画と使い分けされている。

 意外にも「ながら見できる」は、YouTubeと変わらない水準でTikTokでも35%前後と、高い割合に。「ショート動画に代替されにくいのは“ながら見”コンテンツ」というイメージは、TikTok単体でのながら見需要が今後さらに高まっていくことで、覆される可能性もあるかもしれない。

 その他、特徴的だったのはYouTubeで「学び系のコンテンツが充実している」、TikTokで「トレンド情報に強い」がそれぞれ約半数の票を獲得していること。学びたい時はYouTube、トレンドを知りたい時はTikTokというように、用途によってYouTubeとTikTokの使い分けが起きているのかもしれない。一方、「推し活に利用できる」はYouTubeとTikTokでともに30%前後と、推し活にはどちらの媒体も同じくらい使われていることがわかった。


◆「広告きっかけで商品購入」はいずれの媒体も1割以下

 「広告」「プロモーションを含む動画」「プロモーションを含まない動画」のそれぞれがどれだけ購買に繋がったのかを見てみると、いずれの媒体も商品を購入した割合は1割以下だった。YouTube・YouTubeショート・TikTokで回答者の割合に大きな違いは見られないが、YouTubeショートがいずれもわずかに他媒体よりも低くなっている。

 3媒体全てを「利用あり」と答えた人に対して、商品の購入に繋がった回数が最も多い媒体を選択してもらった結果、YouTube・TikTok・YouTubeショートの順に割合が高く、それぞれ約3割、2割強、約1割となっていた。

 それぞれの媒体をほぼ毎日利用するヘビーユーザーの購買行動の意識は、媒体間で大きな差がなかった。購買意識という面ではユーザー層が似通っているようだ。