3月23日(土)神戸ワールド記念ホールにて「RIZIN LANDMARK09」が行われ、2024年のRIZINの行方を占う熾烈なサバイバルマッチが繰り広げられた。
MMA、女子、キックとRIZINらしいバラエティに溢れたマッチメークが並んだ今大会で、MMAファンからの注目度が高かったのは井上直樹VS佐藤将光、武田光司VS萩原京平、ホベルト・サトシ・ソウザVS中村K太郎の後半3試合だろう。
大晦日に朝倉海がベルトを巻いたバンタム級の日本人トップ同士の対戦=井上VS佐藤は、両者が期待通りのハイレベルな技術戦を展開。1Rに井上が速いテンポの打撃でペースを掴むと、2R以降は井上の動きに対応した佐藤が徐々に盛り返していく。勝負の3Rはそれまでの打撃戦から一転、井上が渾身のテイクダウンを決めて判定勝利。接戦をモノにした井上は試合後のマイクで「いいんじゃないですか、チャンピオンシップ」とUFC参戦も噂される朝倉への挑戦をアピールした。
フェザー級転向初戦の武田がフェザー級常連ファイターの萩原に挑んだ一戦は、武田の強さが存分に発揮された試合となった。1Rに試合続行不可能かと思われたローブローを受けた武田だったが、持ち前のレスリング力&スタミナで萩原を圧倒。5分3R攻め続けて、フェザー級で連敗脱出&再起の勝利を掴んだ。
現RIZINライト級王者サトシとUFCにも参戦経験がある実力者・K太郎の一戦は、戦前の予想を覆してサトシがハイキックを効かせてパウンドアウトし、王者としての強さを見せつける結果になった。
佐藤に競り勝った井上が朝倉海への挑戦をアピールしたように、前回2月の佐賀大会、そして今回の神戸大会からRIZINの2024シーズンが本格的にスタートした。試合後にRIZIN榊原信行CEOは「今日生まれた勝ち負けを踏まえたドラマを起点に、7月の『超RIZIN3』につなげられるものはつなげたい。6月に国立代々木競技場第一体育館での大会も決まって、選手たちのラインナップを揃えて、一旦7月に向けて積み上がっていく形のドラマチックな展開、みなさんのワクワクドキドキを醸成するように作っていきたい」と語った。
榊原CEOの言葉からも分かるように、RIZINという舞台では、ただ勝ち星を重ねるだけではなく、ファンの期待値をどれだけ高められるかが必要だ。
例えば榊原CEOは井上の挑戦表明について「(井上VS佐藤は)実力者同士、MMAという競技の中のレベルが高い選手同士の試合だった」と競技レベルの高さを認める一方「朝倉選手がこの先どういう方向性に行くかとは別で、あの試合で一足飛びで『朝倉海とタイトルマッチを見たい』という熱をどこまで作れたかはクエッション。もしRIZINで朝倉選手がタイトルマッチをやる場合、井上選手が挑戦者の候補の一人ではあるけれど、それ以外の選手も候補に入れたなかで相手を選考したい」と機運を高めるという部分では決め手に欠けたとも話している。
競技者としての強さとファンを巻き込んで熱を生むストーリーがあるからこそRIZINは面白い。2024年のRIZINがどんなストーリーが繰り広げられるか。まだ始まったばかりだ。
(C)RIZIN FF